第647話
はるかは、
「木嶋さん、楽しみにして下さいね!」木嶋に話し、席を立ったのである。
木嶋は、
「はるかさん、お待ちしています。」はるかに頭を下げ、はるかを見送ったのであった。
【フー】と息を吐いた。
木嶋は、
「はるかと、かれんさんが女子会ね。意外な組み合わせだな!お互いが、良ければいいのだから、たまには、いいかな?そう言うことも…。」一人で呟いていた。
女性が…二人以上集まれば、女子会になる。
反対に、男性が、二人以上集まっても、男子会とは呼ばない。
単なる飲み会とか…宴会と言うのである。
そう考えると、言葉というのは、面白いものだと、つくづく感じてしまう。
誰が、《女子会》と命名したのか…聞いてみたい。
そんな中で、木嶋は、はるかが、いなくなってから10分が経過した。
いつもなら、直ぐに席を立つのが、今日は、なぜか?動こうとしなかったと言うより、動けなかった。
【こんなことは、珍しいな!】一人で、ボヤていた。
椅子に置いていた…《リュック》を背負い、ようやく…立ち上がった。
「さて、帰るか!」
足取りが、重く感じていた。
【やはり、麻美さんが…妊娠してしまったことが、《ショック》だな!これから、誰に相談すればいいのだろう?】考え込んでしまう。
「かれんさんに、はるかのことは言えないし、はるかに、かれんさんのことは話せないし、玲さんに、相談出来ないよな!麻美さんだから、言えることもあるのに…。」思わず本音が出てしまう。
階段を降り、会計をした。
店の外は、星空が出ていた。
「自分の心の中も、この星空みたいに、晴れ渡っていたいな!」
JRの改札口に向かった。
改札口を通り抜けた。
ふと、上を向き…電車の時間を確認した。
「おや…東海道線の時間が消えている…!なぜだろう?」
木嶋が、耳を澄ませていると、構内放送が入った。
「ただ今、東海道線は…人身事故の影響で、遅れが生じています。そのため…電車が到着まで、今…暫くお待ち下さい。」
木嶋は、
「この年末になって、人身事故か…。自ら、命を絶つことがないのに!ほんと…嫌な《世の中》だね。さて、どうしたらいいかな?京浜東北線で帰ろうか?東海道線を待つか?二者選択か…少し、待って見ようかな?」東海道線を待つことに決めた。
すると、木嶋の携帯が…
「ピローン、ピローン、ピローン」鳴り響いていた。
木嶋が、電話に出た。
「もしもし、木嶋です。」
「どこにいるの?」声の主は、母親である。
「今…横浜駅で、電車を待っているよ!」木嶋は、母親に答えていた。
母親は、
「東海道線は、人身事故で動いているの?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「少し、待ってみて…動いていないようなら、京浜東北線で帰ります。」母親に告げた。
「早く、帰って来なさいよ!」木嶋に伝え、電話を切ったのである。
木嶋は、携帯の《お気に入り》から、《ダイヤ情報》の画面を、クリックしたのであった。