第641話
木嶋は、はるかに会うのが、嬉しくて…楽しみにしていた。
両腕を腕組みして、店内を見回していた。
その姿勢を、長時間…保っていても、周囲の人から見たら、変な人間だと思われてしまうので、非常に辛いのである。
リュックから、夕刊紙を取り出した。
木嶋が、待ち合わせ場所に到着してから、30分が経過していた。
「また、一時間待ちか?」段々(だんだん)と、嫌気が差し、ため息が漏れ出していた。
「マジで、帰ろうかな?」木嶋は、そんな心境になってしまうのは、当然のことである。
そんなとき、木嶋の携帯が…
「ピローン、ピローン、ピローン」鳴り響いていた。
慌てて、携帯を取り出した。
「もしもし、木嶋ですが…」
「はるかです。木嶋さん、いつもの待ち合わせ場所であります…コーヒーショップ『Y』にいますよね?」はるかが、木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「いつもと同じ…コーヒーショップ『Y』の2Fにいますよ。かれこれ…30分は、待っていますけど…!」はるかに、嘆いていた。
はるかは、
「木嶋さん、長い時間…お待たせて、申し訳ありません。これから、すぐに向かいます。」木嶋に、そこから…動かないように、《シグナル》を出していた。
はるかも、策略家である。
木嶋の行動を見透かしていたかのような…《タイミング》で、電話を掛けてきたのである。
木嶋は、
「はるかさんが来るのを、お待ちしています。」形式的な話しを振り、はるかに答えていた。
はるかは、
「待っていて下さいね!」木嶋に伝え、電話を切ったのである。
木嶋は、はるかに…
「遅いから、帰る」と言えば良かったと…後悔をしていた。
「木嶋君、はるかさんには…甘いんだから!」麻美が、木嶋に、常々(つねづね)、言っていることが、今更ながらも、理解が出来たのである。
そうは言っても、木嶋には…はるかの存在は、とてつもなく…大きいのである。
長く付き合っていると、お互いのことを知りすぎてしまうので、別れることも、視野に入れていないといけないのかな?と…感じていた。
はるかが、2Fに上がってきた。
「木嶋さん、お待たせしました。」明るい声で、木嶋に答えていた。
木嶋は、はるかのかおを見た瞬間…
《ホッ…》と、胸を撫で下(おろしていた。
木嶋は、
「はるかさん、お久しぶりです。」はるかに、声を掛けていた。
はるかは、
「木嶋さんも、元気そうで…良かったです。《X'mas》は、どうでしたか?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「かれんさんと、一緒に、《X'mas》を楽しみました。はるかさんじゃなかったので、それが…残念でした。」はるかに話していた。
はるかは、
「木嶋さん…かれんさんと一緒に、《X'mas》を楽しめたなら良かった。安心しました。私も、過ごしたかったのですが、都合がつかなかったので、どうすることも、出来ませんでした。ゴメンなさい。」木嶋に頭を下げていた。
木嶋は、
「次回は、一緒に過ごせるといいのにね。」はるかに伝えた。
はるかは、
「そうですね。かれんさんとは、どうだったのですか?」木嶋に聞いてい、。
木嶋は、
「色んな…《サプライズ》があって、面白かったよ。」はるかに答えていた。
はるかは、
「色んな…《サプライズ》って、どんなことですか?教えて下さい。」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「どうしようかな…?」少し…意地悪をしていたのである。