第636話
木嶋は、
「理解をしてくれて、ありがとう。」大森さんに伝えた。
大森さんは、
「良く考えたら、木嶋君が…人を騙すようなことはしないよね?」木嶋に念押ししていた。
木嶋は、大森さんが、【疑い深い】性格を、長い付き合いの中で、熟知していた。
大森さんは、木嶋の元から離れて行った。
木嶋は、
「何とか…理解をしたみたいで良かった。」胸を撫で下ろしていた。
昼休みの休憩時間も、終わりに近づいていた頃…
木嶋の携帯が…
「ピローン、ピローン、ピローン」鳴り出していた。
木嶋は、慌てて…携帯の画面を見た。
すると…驚いたことに、麻美が電話を掛けてきたのである。
木嶋は、すかさず…電話に出た。
「もしもし、木嶋ですが…!」
「私、麻美です。木嶋君…お久しぶり。今、電話…大丈夫かな?」麻美が、木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「大丈夫だよ。出来るだけ、手短に…お願いします。」麻美に伝えた。
麻美は、
「それでは、手短に、お話しをしますね!麻美は、お店を辞めることになりました。」木嶋に告げた。
木嶋は、
「麻美さん、いきなり…何を言うのですか?辞めるなんて信じませんよ?」麻美に話していた。
麻美は、
「木嶋君が、信用しないのは…無理がないよね?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「そりゃ…信じませんよ!今まで、麻美さんが、他の店に移る度に、富高さんと一緒に、移動してきたからね。一から、立て直すと…疲れてしまうよ!」率直な意見を、麻美に答えていた。
麻美は、
「今回も、木嶋君…残念ながら本当ですよ。」自信満々(じしんまんまん)に、木嶋に話していた。
木嶋は、
「どうやら、信じないといけないみたいだね。次は、どうするの?」疑問を、麻美に投げかけていた。
麻美は、
「自分で、オープンしたお店でありながら、途中で投げ出すことは、出来るだけ避けたかった。ただ、事情が、許してくれなかった。」木嶋に、思いをぶつけたのであった。
木嶋は、
「どんな事情なのか…知れないが、投げ出して欲しくなかったな。玲さんは、どうするの?」麻美に聞いていた。
麻美は、
「玲さんは、店を引き継いでもらいます。私自身は、オーナーとして、名前を残します。」木嶋に告げたのである。
木嶋は、
「玲さんが、店に引き継いだら、全てが、変わってしまうのでは…?」木嶋が、気になったことを…麻美に伝えた。
麻美は、
「玲さんに、任せた以上は、私は、口を出すことは出来ません。」木嶋に、経営方針を答えたのであった。
木嶋は、
「解りました。辞める理由は、聞きません。麻美さんが、選んだ道なので…」麻美に告げた。
麻美は、
「木嶋君、ありがとうございます。私が、辞めるのは、年明けの1月なので、それまでに、一度…富高さんと、一緒に来て下さい。」木嶋に、《アピール》を忘れていなかった。
木嶋は、
「近いうちに、富高さんと話しをしてから、麻美さんに回答します。」麻美に話し、電話を切ったのである。