第635話
木嶋は、大森さんが離れて行ってたので…「ホッ…」と、一安心していた。
「この写真を撮って、送って頂いた…菅平さんに感謝しないといけないな。」木嶋は、心の中で呟いた。
一方…大森さんは、
「本当に、木嶋君が、江ノ島にいたのかな?一人で歩くなんてことは、あるのだろうか?」木嶋の行動に、ふとした…疑問を投げかけていた。
「何か…木嶋君に、騙された気分だな!どこかに、情報を送った人がいるはず…」率直な思いであった。
「キーン、コーン、カーン、コーン」予鈴のチャイムが、工場内に鳴り響いていた。
木嶋は、午後の仕事の準備に取り掛かっていた。
すると…木嶋の携帯が、
「ピローン、ピローン、ピローン」聞き慣れた着信音が鳴っていた。
「はるかからだ。」
木嶋は、目の前にある…置き時計で、時間を確認した。
「もうすぐ、仕事が始まる…電話に出ると長くなるし、出ない方がいいかな!」
普段の木嶋なら、電話に出るが、時間が差し迫っている状況では、電話に出るのを諦めた。
「まだ、携帯が鳴っている。はるかにしては、随分…我慢をして長い時間、鳴らし続けているな!」少し、呆れながらも、苦笑いをするしかなかった。
もう一度…
「キーン、コーン、カーン、コーン」チャイムが鳴り響いた。
これは、仕事を始めるチャイムである。
「さて、仕事を始めるか!」木嶋は、仕事を再開した。
先ほどまで鳴っていた…携帯の着信音が、鳴り止んだ。
木嶋は、
「あとで、ショートメールを送信しよう。」そう考えたのだ。
午後3時。
休み時間になった。
「さて、携帯を持ち…メールを作成しよう。」
木嶋が、携帯を持ち…画面を開いたとき、
「なんだ、この着信履歴は…!」驚いていた。
驚くのも、無理はない。
はるかが、何度も…電話を鳴らしていたのである。
その回数は、10回であった。
木嶋の仕事と、はるかの仕事では、終わる時間帯も違う。
「はるかも、何度…掛けても出ないから、かなり…苛ついていても不思議じゃないな!」木嶋は、はるかに電話をするのも、躊躇してしまった。
「電話よりも、メールにしよう。それが、一番、最善策だ。」
素早く…文章を考え、メールを送信した。
木嶋の心配は、【ライン】が《トラブル》がないようにして頂かないと、心身共に、ズタズタになってしまう。
再び…大森さんが、木嶋の職場に歩いてきた。
「木嶋君、先ほどの写真を見せて頂けないかな?」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「大森さん…自分のことを疑っているの?」
大森さんは、
「良く考えたら、必然的に、そう思ったんだ。」木嶋に告げた。
木嶋は、
「知っている人が、前を歩いていたら、自分から声を掛けるか?真を撮る財か?のどちらかだよ!今回は、そうなったんだ。理解出来たかな?」大森さんに答えていた。
大森さんは、
「分かった。」木嶋の言葉を信用したのであった。