第616話
木嶋は、電話に出た。
「もしもし、木嶋ですが…」
「私…はるかです。木嶋さん、お久しぶりです。元気にしていましたか?」はるかは、木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「至って…元気ですよ。久しぶりに…はるかさんの声を聞いたら、身体中が、《パワーアップ》したような気がします。」はるかに答えていた。
はるかは、
「元気で良かった。今は、何をしているのですか?」木嶋の行動が気になるらしい。
木嶋は、
「まだ、かれんさんと…デート中です。」はるかに伝えた。
はるかは、
「えっ…木嶋さん、随分、長い時間…一緒にいますね!」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「はるかさんが、2日間共予定があるから…一緒にいればと、自分に話していたでしょう。忘れたの?」はるかに話したのだ。
はるかは、
「あっ…そうだったね。ゴメン!ゴメン!忘れていました。」謝罪をしつつ…
続けて…
「木嶋さん、明日の夜は、空いていますか?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「明日…って言うと、月曜日の夜だよね?仕事帰りなら、大丈夫だよ。」はるかに告げた。
はるかは、
「それでは、明日…横浜で、会いましょう!」木嶋に話し、電話を切ったのであった。
木嶋は…「フー」と息を吐いた。
「明日か…何か、気が重いな!久しぶりに、はるかと…会うのに、《なんだろう?》釈然としないのは…。」こんな気持ちになるのも、珍しい。
木嶋の心が、はるかから…離れかけているのだ。
恐らく、はるかは…そんな木嶋の心境を悟っていたのかも知れない。
現実的に考えれば…はるかも、かれんさんも、木嶋の彼女になる可能性は低い。
しかし、はるかも、かれんさんも、夜の仕事を辞めて、昼間の仕事をしている。
そのことは、木嶋は…感謝をしていた。
ただ、かれんさんは…
【木嶋の彼女になりたい】と、積極的に、【アピール】している。
その勢いに押されて、今日があるのだ。
はるかは、木嶋に…何かをねだろうと考えているはず…。
木嶋が、阻止出来るか?出来ないか?である。
普段から、一緒にいる時間が長いのは、はるかなのだ。
今年の場合は…年末年始が、まだ、控えている。
ふと、考え事をしていたら、いつの間にか…【野球ゲーム】が終わっていた。
木嶋は、
「あ~あ。終わちゃった。」ため息をついた。
「これから、かれんさんを迎えに行こう!」気を取り直して、かれんさんの元に向かった。
かれんさんは、まだ…【ゴルフゲーム】をしていた。
木嶋は、気付かれないように…かれんさんの後ろに回った。
両手で、かれんさんの目を隠した。
「誰かな?」
冗談ぽく…かれんさんに問いかけていた。
「この手は、木嶋さんだ。」かれんさんは、木嶋に答えたのだ。
木嶋は、
「なぜ…分かったの?」かれんさんに尋ねていた。
かれんさんは、
「木嶋さんが、私の後ろに回ったのは、気づいていましたよ!」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「最初から、バレていたんだ!残念。」苦笑いを浮かべるしかなかった。
かれんさんは、
「私…これから、木嶋さんを迎えに行こうと思っていたのです。《ナイスタイミング》でした。」木嶋に笑顔を振りまいていたのであった。