第600話
木嶋は、しっかりと…かれんさんを抱いていた。
改札口を通り抜け、エレベーターに乗り、地上に出た。
「かれんさん、歩くのが、大分ツそうだね。家まで、タクシーで行こうか?その方が楽だよ。」木嶋は、かれんさんに提案をした。
かれんさんは、
「私、タクシーで行くよりも、木嶋さんと寄り添いながら、家に帰りたいです。」木嶋に《ワガママ》を言っていた。
木嶋から見たら、多少なりとも、自分の意見を伝えてくれる人が好きである。
かれんさんも、はるかと、同じタイプである。
足元は、雪で滑り易くなっているので、慎重に歩いていた。
木嶋は、
「かれんさん、雪道は、我々(われわれ)都会人は、歩き慣れていないので、慌てなくても良いからね!」かれんさんに、優しく…声を掛けた。
かれんさんは、
「ありがとうございます。」木嶋に答えていた。
普段から、女性と《ベッタリ》することはないので、今も、戸惑いがあるのも…事実である。
昨日、立ち寄った…『コンビニ』を通り過ぎた。
木嶋は、
「かれんさん、もう少しで…家に着くからね!」かれんさんに話していた。
かれんさんは、
「うん。」と、頷いたのである。
家の前に到着。
木嶋は、
「かれんさん、ここの《セキュリティカード》があったよね?出して貰っても下いいかな?」かれんさんに問いかけた。
かれんさんは、
「はい。今…出しますね!」鞄から、カードを取り出した。
木嶋は、カードを預かり…入り口に差した。
カードが、認証され、ドアが解除された。
かれんさんを先頭にして、後から、木嶋が、続いたのである。
意地悪な人は、具合が悪い人を外に置き去りにしたまま、その人の家に上がり込んでしまう。
【泥棒と一緒である。】
木嶋に、そんなことは出来ない。
かれんさんが、木嶋のことを彼氏だと思っているので、その思いを踏みにじることは、《負い目》を感じるのである。
木嶋は、靴を脱いだ。
「かれんさん、靴を脱いで…。」耳元で囁いた。
かれんさんは、軽く頷き…靴を脱いだのである。
靴を脱いだ瞬間、木嶋に凭れた。
木嶋は、かれんさんを抱きしめた。
「ずっと…このままでいたいね!」かれんさんに告げた。
かれんさんは、
「うん。」木嶋に答えていた。
木嶋は、かれんさんを抱き抱え…ベットに連れて行った。
「かれんさん、チョット…このままで、いて下さい。」木嶋は、かれんさんに話していた。
かれんさんは、
「待ってるね。」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「えっ…と、氷は、どこにあるのかな?」冷蔵庫の中を探した。
氷ではなくて…《アイスノン》を見つけた。
「これを、かれんさんの額に貼ろう。」
木嶋は、それを持ち…かれんさんのベットに向かったのである。
かれんさんは、
「あっ…《アイスノン》を見つけてくれたんだね!ありがとうございます。」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「じゃあ…貼るよ!」かれんさんの額に、《アイスノン》を貼ったのである。