第577話
木嶋は、
「自分の、乗り換えが横浜なので、どうしても、遊ぶ場所が…その周辺に限定してしまう。本当は、それではいけないと思っていても、なかなか…その一歩が踏み出せないんだ。」かれんさんに話していた。
かれんさんは、
「そうですよね!一人で、知らない場所に行くのは勇気が要りますよね。でも大丈夫です…私がいるので、心配しなくていいですよ。」木嶋に、心強い言葉を掛けていた。
横浜市営地下鉄に乗車した。
「ピンポン」と音が鳴り…ドアが開いた。
最近の電車は、ホームに転落しないように…【ホームドア】が設置されているところが多い。
JRや相鉄線には、設置されていない。 「なぜだろう?」
素朴な疑問を感じていた。
「そう言えば…京浜急行も、設置されていないような気がしていた。」
木嶋は、JRが、事故などで不通になっているとき…京浜急行を利用する。
木嶋の家から、京浜急行の乗り場まで、距離がある。
また、京浜急行は、止まらない電車と言う…認識が常に頭の中にある。
以前…利用していた…小田急線は、時間に《ルーズ》である。
遅れるのか当たり前。
何もない状況下の中で、構内アナウンスもなく、憤りを感じていた毎日だった。
時間に《ルーズ》と言えば…はるかが、そうである。
木嶋との待ち合わせ時間に、平気で、30分以上遅刻してくる。
何度も、改善するように伝えても…【聞く耳持たず】で、【逆ギレ】されてしまう。
木嶋の携帯が…
「ピローン、ピローン、ピローン」聞き慣れた着信音が聞こえている。
この着信音は、はるかである。
急いで出ようとしたら…地下に入ったので、電話が切れてしまった。
木嶋は、
「電波が弱いね!」かれんさんに伝えた。
かれんさんは、
「木嶋さん、横浜市営地下鉄は、携帯の電波が届きにくいですよ!」木嶋に答えていた。
その言葉を聴いたとき…思わず納得してしまう。
「仕方ないよね!改札口を過ぎれば…電波が届くようになるよね?」木嶋は、かれんさんに尋ねていた。
かれんさんは、
「そうですね。先ほどの電話は、はるかさんからですか?」木嶋に問いかけたのだ。
木嶋は、
「そうです。はるかさんが、電話に出たら…かれんさんに、代わりますよ。」かれんさんに告げた。
かれんさんは、
「はるかさんに、話しても大丈夫ですかね?」半信半疑な気持ちである。
木嶋は、
「今日…かれんさんと会うことは、はるかさんには伝えてあるので、大丈夫だと思うよ!」自分を納得させる材料が乏しいと思っていた。
かれんさんは、
「私が、木嶋さんの彼女になると言ったら…驚きますかね?」
「案外、冷静に受け止めるかもね!」木嶋は、かれんさんに話していた。
かれんさんは、
「私、はるかさんとの《会話》が、楽しみです。」
この一言が、これからの波乱の幕開けになるなど…思っていなかった。
車内アナウンスが…
「まもなく…三ツ沢上町~、三ツ沢上町です。」流れていた。
木嶋と、かれんさんが席を立ったのであった。