第571話
男性店員さんが、木嶋のテーブルに戻って来た。
「お客さま、先ほどのお問い合わせですが、当店では、鳥団子の《つなぎ》に、山芋は…使用しておりません。ご安心下さいませ。」木嶋に答えたのだ。
木嶋は、
「ありがとうございます。」男性店員さんに話していた。
男性店員さんは、
「他に、何か…ご用が、ありましたら、釦で、お呼び下さいませ。」木嶋に伝え、その場を離れて行った。
木嶋は、
「かれんさん、鳥団子に、山芋は入っていないみたいだね!」かれんさんに答えたのだ。
かれんさんは、
「ありがとうございます。木嶋さんも、嫌いな食べ物って…何ですか?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「本当に、驚かない?」
「食べ物で、驚いていたら…身体が、いくつあっても足りないですよ。」かれんさんは、木嶋に答えたのだ。
木嶋は、
「じゃあ…答えるね!《かに》、《海老》が、ダメなんだ。」かれんさんに告げた。
かれんさんは、
「なぜ?《かに》と《海老》がダメなんですか?それ以外にも…ありますか?」木嶋に問いかけた。
木嶋は、
「本人が気が付かないだけで、今…挙げた以外にあるよ。前に、北海道へ出掛けたとき、《かに》と《海老》を食べても、おいしいと感じなかった。」かれんさんに答えていた。
かれんさんは、
「私が、木嶋さんの彼女になるので、苦手な食べ物を克服出来るように努力しますよ。手始めは、お弁当を作りますので、休日出勤が、ある日にちを教えて下さい。」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「長期連休なら教えていいが…いつ、休日出勤があるのか…現時点では判りません。どんな形(かたち
)で、お弁当を渡すの?」率直な意見を、かれんさんにぶつけた。
かれんさんは、
「私が、車を運転して、木嶋さんの会社まで届けますよ!」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「マジで…それは、《マズイ》な」一人でボヤいていた。
かれんさんは、
「木嶋さん、何を…呟いているのですか?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「かれんさんが、車を運転して、会社に届けて戴くのは、問題ない。自分が、職場の人たちに冷やかされるんじゃないのかな?それを心配しているだ。」かれんさんに話したのだ。
かれんさんは、
「木嶋さんが、堂々(どうどう)とすればいいんですよ。周りから逃げようとするから、疑われるのです。」木嶋に伝えたのだ。
木嶋は、
「かれんさんの言う通りだね。」納得した顔であった。
鍋が、ちょうどよいくらいに、煮たっている。
かれんさんが、
「木嶋さん、蓋を取っても大丈夫ですかね!」
「鍋の小さい穴から、煙りが出ているので、取っても大丈夫だよ。」かれんさんに優しく声を掛けたのだ。
かれんさんは、《おしぼり》を使い、鍋の蓋を取ったのである。
「おいしそうですね。戴きます。」
鍋の具材を、小さな器に入れ、食べ始めたのであった。