第570話
鍋のお湯が、《グツグツ》と沸騰始めていた。
木嶋は、箸を持ち、具材を丁寧に鍋へ入れた。
「白菜、白ネギ、鳥団子、椎茸、うすあげ、えのき、鱈、豆腐、エリンギ」たくさんあった。
具材を入れ終え、鍋に蓋をした。
かれんさんは、
「木嶋さん、今日は、外の気温が低かったので、早く食べて…身体を暖めたいですね。鳥団子の繋ぎに、山芋などが入っているんですかね?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「店員さんに聞かないと分からないね!山芋系は、ダメなのかな?」かれんさんに告げた。
かれんさんは、
「私、《アレルギー》があるんです。」
「アレルギーって…《アトピー》じゃないよね?はるかさんは、山芋を食べると、蕁麻疹が出ると言っていたことがあるよ。それと同じかな?」木嶋は、かれんさんに尋ねたのだ。
かれんさんは、
「はるかさんは、山芋は、ダメなんですか?何か…親しみを感じますね。メールか?電話の着信履歴は、まだ、ありませんか?」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「チョット…待ってね。」
Gパンのポケットから、携帯を取り出し…履歴を確認した。
「まだ、連絡ないね!本人が気づいているかは、分からないね!」かれんさんに答えていた。
かれんさんは、
「仕方ないですね。木嶋さん、はるかさんとは…いつも、こんな感じですか?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「そうだね!連絡を入れても、《スルー》されることもあるから、今回も、案外、そうかもね!」かれんさんに話したのだ。
かれんさんは、
「私なら、着信履歴があったら…すぐに、電話を掛け直しますよ。好きな人の声は、一刻も、早く聴きたいですから…。」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「ありがとう。そう言って戴けると、嬉しいね!」かれんさんに答えたのだ。
テーブルの上に置いてある…釦を押した。
『ピンポン』
店内に《こだま》していた。
先ほどの男性店員さんが、駆(かけ足で(あし)…木嶋のテーブルに来た。
「お待たせしました。ご注文をお伺い(うかが)いたします。」木嶋に告げた。
木嶋は、
「チョット…お尋ねしたいのですが、鳥団子の中に、山芋などを使っていますか?」率直な疑問を、男性店員さんにぶつけていた。
男性店員さんは、
「どなたか?ア《レルギーを》お持ちですか?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、右手を…かれんさんに向けたのだ。
「畏ま(かしこ)りました。確認をいたしますので、少々(しょうしょう)、お待ち下さいませ!」男性店員さんは、木嶋に話し、その場を離れて行った。
木嶋は、
「かれんさん、山芋が入っていたら…自分が、食べますよ!」かれんさんに伝えた。
かれんさんは、
「木嶋さん、ゴメンなさい!」木嶋に、頭を下げていた。
木嶋は、
「自分も、苦手な食べ物があるので、変わらないよ。」苦笑いしながら、答えていた。
かれんさんは、
「木嶋さんに、苦手な食べ物があるんですか?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「苦手な食べ物を、上げたら《キリ》がないよ。」かれんさんに話したのである。