第558話
木嶋は、
「会社が、完全週休2日制を唱っている以上は、仕方ないよな。祝日を休みにすると、土曜日が出勤になる。こればかりは、難しい問題だよ。」家族に答えていた。
母も、姉も、電機業界の大手に勤務している。
母は、パートで現場作業をしていたので、木嶋の苦労は、理解をしていた。
姉は、祝日、土日休みなので、羨ましいと感じたことは、一度や二度ではない。
世間は、多くの企業が、祝日及び土日が休みなのだ。
木嶋の勤務している自動車業界は、横並びが主流だ。
一番…恵まれているのは、極少数の企業に勤めている人かも知れない。
木嶋は、
「もうすぐ、《X'masイヴ》。何か…緊張してきたぞ。何だろう…この《ドキドキ》しているのは…!」
翌日…
朝、起きて、カーテンを開けた。
【まだ、雪が降っていない。天気が、このままもってくれればいいな!】
木嶋の心は、
《雪が降ってほしい!》願望と…!
《このまま降らずにいてほしい!》願望と…、気持ちが交錯していた。
雪が降ると、耳や足元から冷えてくる。
それに、雪国に住んでいる人たちから見ると、歩き方が…首都圏に住んでいる人たちは悪いかも知れない。
木嶋は、少し前なら、スキーをしていたので、一日ぐらいなら、その靴を履けば問題ない。
今は、スキーを辞めてしまったので、その靴も捨ててしまったことを後悔していた。
そう言えば、長野オリンピックが開催されたとき…
木嶋は、日本代表選手団が着用していた公式ユニフォームのレプリカを購入した。
なかなか、着る機会に恵まれず…家の洋服タンスに眠ったままであることに気づいていた。
「今日、気温が低くなれば…長野オリンピックのレプリカモデルを着ても大丈夫かな?」一人で呟いていた。
心の中では、【雪が降るな!】と言いながらも、【気温が低くなればいいな!】と矛盾していると思っていた。
木嶋は、着る物に対して…無頓着な部分がある。
【 なぜ?だろう…。】と、考えたとき…
ふと感じるのは、一人で過ごしている時間が長かったと言った方が正解である。
今の木嶋は、はるかもいる。
かれんさん、玲、麻美もいる。
その意味では、4人の存在意義が、絶大である。
《X'masイヴ》が…
これからの《タイニングポイント》になるなど、このときは、分からなかった。
「もうすぐ、待ち合わせの時間になる。身仕度をしないと…。」
木嶋は、悩んだ末に、長野オリンピックのレプリカモデルを着用することに決めたのだ。
「かれんさんは、どんな意見を言うのかな?はるかなら…《センスがない。》と、ダメ出しかな?」木嶋は、呟いていた。
いつも、一緒にいるのが…はるかだから、木嶋に、《キツイ》ことを言えるのだろう。
麻美や玲でも、結果は同じだと思っている。
木嶋は、窓の外を見た。
【雪が降り始めてきた。本当に、《ホワイトX'mas》じゃないか!】声を出したのであった。