第557話
木嶋は、
「あと、10日で、《X'masイヴ》か…月日が経つのは早いな!」
12月の半ばを過ぎていた。
「街中は、完全な【X'mas】ムードだ。」ポツリと呟いていた。
朝の情報番組で、関東地方は、【ホワイトX'mas】になる確率は、低いみたいである。
元々(もともと)…12月に雪が降る可能性はないに等しい。
木嶋が、20代の頃…
陸上仲間とスキーに出かけていたことが多く、あまり…一人でいることを気にしていなかった。
それだけ、仲間意識が深かったのかも知れない。
21世紀になり、はるかと出会ってからは、比重が高くなるにつれ…陸上仲間との時間が疎遠になってしまったのは、木嶋自身に責任があるのだ。
「何とか…《ホワイトX'mas》にならないのかな?もはや…神頼みしかない!」木嶋は、家の近所にある神社に行こうとしていた。
木嶋が、神社に出向くのも珍しい。
29歳まで限定の大会に、エントリーをしていた。
それは、神奈川県の代表であるが、一流選手が参加をする大会ではない。
その気楽さから…仲間と会うことが楽しみになっていた。
木嶋が…小学生の高学年から、継続をして陸上をしていたので、たまたま…出る機会に恵まれたのである。
その中で…
【この人はいいな!】と思った人は数知れずいた。
家近くの神社に到着した。
【賽銭】を取り出した。
【ホワイトX'masなるようにして下さい。】願掛けをした。
それから…1週間が経過した。
何となく…朝の情報番組の天気コーナーを見た。
すると…天気予報では、《X'masイヴ》に雪が降ると話しているではないか!
木嶋は、内心…
【ヤッター】と叫んでいた。
その反面、電車、バスなどの公共機関に遅れが出てくることを懸念していた。
【我々(われわれ)、都会人は、雪対策には、素人なのだ。ケガに注意をしないと…。】木嶋は、心に言い聞かせていた。
《X'masイヴ》まで、あと…3日。
【かれんさんが、楽しみにしている。その期待を裏切らないようにしないと!】
そして、約束の日。
朝起きてま窓の外を見た。
辺り一面に銀世界が広がっている。
【本当に、天気予報が当たったよ。これが、仕事だったら、大変な思いで出勤しないと行けなかった。そう考えると、休みで良かったかな!】
今年、《X'mas》は、土日に当たっている。
幸い、天皇陛下の誕生日が、前日に当たる為、世間は、3連休である。
木嶋の勤務している会社は、土日休みではあるが、祝日は、出勤が多い。
そのたびに、家族から、ボヤかれている。