第555話
木嶋は、
「はるかさんが、都合が良い日にちに、鍋料理の店に行きましょう。」はるかに伝えた。
はるかは、
「木嶋さん。ありがとうございます。早速…予定を確認して、連絡をしますね!それでいいですか?」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「それでいいですよ。電話でも…メールでもどちらでも、はるかさんの好きな方でお願いします。」はるかに答えていた。
はるかは、
「分かりました。」木嶋に話し、電話を切ったのである。
木嶋は、
「何か…はるかに、上手く振り回されている。自分は、本当に、必要とされていないんじゃないかな?そんな気がしてならない。」偽ざる心境である。
考えてみると、出会ってから、丸2年…はるかと一緒に遊んでいる。
しかしながら、現在の進捗状況は、どんなものだろうか?
表現で置き換えるなら、現在進行形よりも、現状維持と言う言葉が、《ピッタリ》だと思わざる得ないと感じていた。
ただ、木嶋には…他の女性を探そうという気持ちになれないのであった。
それだけ、はるかに…思い入れがあるのだ。
同じ年代の大森さんは、色んな女性と交際をしていることを、木嶋に話していたことがあった。
その話しは、飲んだ席でのことなので、信憑性に欠けている。
何事も、器用な人。
不器用な人がいる。
木嶋は、不器用である。
それは、人付き合いに現れている。
現実的に見れば、陸上仲間と会う機会が減ったのは、紛れもない証拠である。
そうした状況の中で、はるかといることで、淋しさを無くしている。
それと相前後する形で、かれんさんが、現れたのである。
男性は、浮気性であるが、上手く立ち回ればいいのだ。
木嶋の場合は、はるかに、正直、打ち明けてしまう。
「自分も、バカ正直だよな!」と思うことが、一度や二度ではなかった。
木嶋の携帯が…
「プルッ、プルー、プルー」鳴り響いていた。
「今日は、良く掛かってくるな!誰だろう?」一人で呟いていた。
画面を覗くと、かれんさんからである。
木嶋は、急いで電話に出た。
「もしもし…木嶋です!」
先ほどとは違い…テンションが上がっていた。
「木嶋さん、かれんです。お久しぶりです。メールを読ませて戴きました。ありがとうございます。」かれんさんは、木嶋に元気の良い声で話していた。
木嶋は、
「こちらこそ…と言った方がいいのかな?時間が余りない状況で、予約が取れたのは、奇跡だと思います。」かれんさんに答えていた。
かれんさんは、
「私も、X'masイヴの予約は諦めていました。ダメだったら…どうしようかなと考えていたところです。」木嶋に話していた。
木嶋は、
「自分も、ダメだったことを想定していなかったから、予約が取れたときは、心の中で喜んでいました。」かれんさんに告げたのである。