第55話
待ち合わせ場所に着いた木嶋は、椅子に座り、通勤で背負っているリュックの中から手帳を取り出した。
手帳を取り出したのは、はるかと会った日にちや予定を書き込んであったのだ。
手帳を広げて見ていたときに、
「ピローン、ピローン、ピローン」携帯が鳴り響いていた。
はるかからであった。
「もしもし、木嶋ですが…。」
「はるかです。木嶋さん、今、待ち合わせ場所のコーヒーショップ『Y』にいますか?」木嶋に尋ねたのだ。
木嶋は、
「待ち合わせ場所のコーヒーショップ『Y』ですが…。」はるかに答えたのだ。
はるかは、
「普段、横浜駅で降りても、スグにクラブ『H』に行かないといけないので、中々、時間に余裕がなくて、洋服など見る時間がないので、少しショッピングをしてもいいですか?」木嶋に話したのだ。
木嶋は、はるかと待ち合わせすると、待つ時間が多いので、正直、悩んでいたのだった。
「どうしようかな…?頭ごなしにダメとは言えないし…!」
木嶋は、決断をした。
「判りました。はるかさん、今から1時間、ショッピングタイムで行ってらっしゃい。」はるかに話したのだ。
はるかは、
「本当ですか?」疑問を抱きながら、木嶋に問い掛けていた。
木嶋は、
「本当ですよ。先ほども言いましたが…1時間後にショッピングを終りにして下さい。終りましたら携帯に電話下さい。」はるかに伝えたのだ。
はるかは、
「木嶋さん、今いる場所から動かないで下さいね。」木嶋に念を押した。
木嶋は、
「了解しました。」はるかに伝え、電話を切ったのだ。
【1時間か…!いつも待っている時間が長いから今すぐに来るように言えば良かったかも知れない!自分もバカ正直かも…。】木嶋は、自問自答を繰り返していた。
《さて、何をしようかな…。ふと…考えていた!》
隣の椅子に置いてあるリュックからマンガ雑誌を取り出した。
このマンガ雑誌は、毎週、金曜日に発売されていて、木嶋は、毎号、購入していたのだ。
マンガ雑誌を読み始めてから、20分ぐらいが経過していた。
「まだ、これくらいしか時間が経っていないのか?退屈だな!」木嶋は、自嘲気味に、ボヤいていた。
マンガ雑誌を、リュックの中に再び入れ、手帳を取り出した。木嶋の手帳の色は、『黄色』のカバーである。
木嶋は、風水に凝っている訳ではない。『黄色』は、縁起が良い色と言われているので、手帳は、その色を購入していた。
最初に、手帳を持ち始めたときは、『黒』を購入していた。『青』を一時的に使っていた時期もあった。
手帳を見開き、12月の月間スケジュールを書き込んでいた。
木嶋は、あることに気がついた。毎週金曜日に、飲み会の予定が入っていたのだ。
「12月は多いな!」と自分に問い掛けていた。
木嶋は、家で、晩酌はしないのだ。会社の同僚や同期会とかの付き合いでしか飲まないだった。
木嶋の父親は、良く外で飲んで歩いて近所の人達に迷惑をかけたりしていて、そのたびに、母親に迷惑をかけていた。
手帳に、はるかに購入した履歴を見ていた。
「色んな物を買っているな!」木嶋自身が驚きながら良く、「頑張っているな」と褒めていた。
それから時間が、30分以上経過した。木嶋の携帯が、
「ピローン、ピローン、ピローン」鳴り響いていた。
はるかからの電話だった。
「もしも〜し、はるかですが…。」
「はいは〜い、木嶋で〜す。」木嶋が、はるかに言葉を返したのだ。
はるかは、
「今も、同じ場所にいますよね?」木嶋に問い掛けた。
木嶋は、
「同じ場所にいますよ!」はるかに答えたのだ。
はるかは、
「これから向かいますね!」木嶋に話していた。
「待っていますから早く来て下さいね!」はるかに伝えたのだ。
はるかは、
「は〜い。行きま〜す。」木嶋に話して、電話を切ったのだった。