第546話
木嶋は、慌てて…階段を駆け降り京浜東北線に飛び乗った。
いつもと、同じ車両に歩いて行く。
定位置も、決まって、ドア付近の座席に座るのが、日課になっている。
なぜかと言うと、ドア付近に座るのが、混雑して出るのにも、時間が掛からない。
スポーツ新聞を広げ、読み始めていた。
最寄り駅から、横浜駅まで、凡そ…15分ぐらいである。
その移動時間が、木嶋には…貴重である。
電車が、横浜駅に到着した。
JRの改札を抜け…相鉄線の改札を通った。
急行電車に乗り、ここでも…会社の最寄り駅の階段に近い場所の車両に乗車した。
手すりに頭をつけ…両手で、リュックを抱え、目を閉じた。
木嶋が、利用している、相鉄線は、朝夕の【通勤ラッシュ】とは無関係である。
会社でも、夜勤の仕事がある職場がある。
木嶋も、一時期…
自分が勤務している会社が、仕事がなく、他の会社に生産応援で、東海道線で通勤していた。
そこの会社で、夜勤を初めて経験した。
そのときに、【通勤ラッシュ】の混雑を経験したのである。
《毎日…こんな混雑で通勤しているのか!自分の身体が持たないな!》そう感じていた。
木嶋が、勤務している会社の大勢の人は、車で通勤している人たち…である。
富高さんが、毎日…千葉の船橋から、2時間近く通っていることを考えても、木嶋には、到底、真似は出来ない。
木嶋が、通勤している時間帯は、電車内で寝ている人もいる。
毎日…相鉄線の中で寝ていても…自然と、乗り換え駅で目を覚ますのである。
習慣というのは、怖いものである。
乗り換え駅で、普通電車に乗車した。
木嶋の会社の最寄り駅は、本線でなく…支線なので、急行電車は停車しない。
普通電車と、快速電車しか停車しないのである。
普通電車でも、木嶋の会社の最寄り駅までは、20分ぐらい。
その時間も、寝る時間になるのだ。
会社の仲間で、作業服姿で、電車で通勤している人もいる。
作業服姿で、会社に通勤する気持ちが、木嶋には…理解出来ないでいた。
会社の最寄り駅に到着。
最寄り駅から、会社の送迎バスに乗った。
送迎バスの中でも、目を閉じていた。
会社に着いた。
ロッカーに向かい、私服から作業服に着替え…自分の職場に向かった。
木嶋は、職場の休憩所で思案していた。
「会社の若い女性社員に聞かないといけない。今日の昼休みに、休憩しているところに行こう!」
木嶋は、昼休みが待ち通しかった。
「今の若い女性社員と話す機会がなかったから、イベントのリーダーを…自分が引き受けたことは、良かったのかも知れない。」木嶋は、そう思っていた。
【キーン、コーン、カーン、コーン】工場内に、チャイムが鳴り響く。
「食堂で、昼御飯を食べてから行こう!」
木嶋は、急いで…ご飯を食べたのであった。