第543話
木嶋の携帯に、一通のメールが届いたサインが出ていたのである。
「誰かな?かれんさんからのメールならいいのにな!」木嶋は、気持ちの高ぶりを押さえられなかった。
受信メールボックスから、最新のメールをスクロールした。
それは、木嶋の予想通り…かれんさんからのメールであった。
「木嶋さん、お久しぶりです。メールの内容を読ませて頂きました。X'masの予定は、両日共空いております。私も、木嶋さんに、お聞きしたかったので、《ナイスタイミング》でした。日にちに関しては、お任せ致します。返信メールを期待して待っています。よろしくお願いいたします。」
木嶋は、
「ヤッター」と声を上げ、小躍りをした。
「まさか…かれんさんの予定が空いているとは思わなかった。会うなら、《X'masイヴ》にしないといけないよな!」一人で呟いていた。
世の中は、本命の女性に対しては…
《X'masイヴ》に会うのが礼儀らしい。
木嶋は、はるかがいても…家族とのX'masを優先されてしまうので、毎回のように、身体の底から虚しさが込み上げてくる。
今年は、そんな滅入る気持ちにならなくていいと思うと、気楽になるものである。
「今年は、麻美さんの店で開催される…《X'masparty》に参加をしなくてもいいな!最も、誘われていても断っていた。富高さんに、行きたくないのに話しをして、お願いをしなくても良かったと思うと楽だ。これから、麻美さんに、メールをしよう!」
木嶋は、直ぐに…麻美に連絡を入れようと考えていた。
「えっ~と、麻美さん…今年は、かれんさんと一緒に《X'mas》を過ごすので、お誘い頂いた、麻美さんの店で開催される《X'masparty》に行くことが出来ません!自分が行くことが出来ないのに、携帯を持っていない富高さんを…行って戴くのは、失礼に当たるので連絡を致しません。」
これでいいな!
後は、送信釦を押すだけである。
「あっ…そうだ。かれんさんにも、連絡をしないといけないな!両日、大丈夫でしたら…一緒に過ごしましょう!」木嶋は、かれんさんに…メールを送信した。
心の中では…
「恋人たちは、どのようにして…X'masを過ごしているのだろう?誰に聞けばいいのかな?悩むな…若い女性社員の意見を参考にしよう。」木嶋は、イベントの企画で活動している…女性社員に話しを聞くことに決めたのである。
木嶋は、早く…かれんさんからの答えを待ち通しかった。
「たどんな回答になるかな?楽しみだな!驚くだろうな。」
これが、今の心境だった。
「麻美さんに、メールを送ろう。はるかから、《X'mas》を誘われても…断ればいい。」
木嶋は、気分がいいと…好きなアーティストの曲を、口ずさんでいる。
それだけ…気持ちに余裕が生まれたのであった。
人は、【きゅうきゅう】と…針積めた緊張感の中で仕事をしている。