第529話
「野球は、9回ツーアウトから…ドラマが始まる。まだ、安心は出来ない。」木嶋は、年配の人に告げた。
年配の人は、
「そうだね。野球は、最後のアウトを取るまでは…ね!」木嶋に答えていた。
木嶋は、
「さて…どんな球種を投げるべきか?悩まなければ…。」
「ストレート、スライダー、フォークの球種は投げてしまった。残っているのは、カーブとシュートの2種類。ましてや、左バッター。どうしたら…いいですかね?」木嶋は、年配の人に尋ねていた。
年配の人は、
「投げていないのは、カーブとシュートか…左バッターだし、シュートを投げて見ようか!それで、振らないようなら考えないと!」木嶋に話していた。
木嶋の思いも同じであった。
コンピューターに、シュートを投げた。
上手く…カットして、3塁側のスタンドに、ファールボールが飛び込んで行く。
「フムフム…シュートをカットしたか!相手は、ストレートだと思い込んで、タイミングを待ちきれずに振って来た!次は、ストレートを投げて見ましょうか?」木嶋は、年配の人に聞いていた。
年配の人は、
「ストレートを投げるのもいいが、内角低めに投げないと…初球のボールが生きて来ないぞ!」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「そうですね。内角低めに投げます。」
クローザーが、2球目のストレートを投げた。
コンピューターが、見送った。
「マジかよ!内角低めのボールに手を出さないのか?」木嶋は、悩んでしまった。
年配の人は、
「カウントは、1ストライク、1ボール。ここまで、同じ球種はない。フォークは、打たれる危険性が高い。スライダーを選択したら、どうだろう?」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「スライダーですか?そうですね…。シュート、ストレートと、スピードは、そんなに変わらない。フォークが抜けることもあるので、自分としては、カーブが有効かな?と思っていたのですが…!」 年配の人に答えていた。
「カーブか?スピードが、少し遅いから…空振りが取れるかも知れないね!あとは、お兄ちゃんの決断次第だ。」年配の人が、木嶋に…《エール》を送ったのであった。
木嶋は、年配の人のアドバイスを受けるか?どうか?思案していた。
「ここは、自分の意見を通します。」年配の人に答えていた。
年配の人は、頷いていた。
木嶋のチームのクローザーが、カーブを投げた。
コンピューターが、空振りをした。
「おっ…コンピューターでも、空振りをすることがあるのか?」驚きを感じていた。
「この空振りは、戦略的な意図を感じる。ここまで来たら…あと一球だ。空振り三振で終わりたいな!」
木嶋は、最後のアウトにするボールを考えていた。
「お兄ちゃん、最後は…ウイニングショットのフォークだ。」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「分かりました。フォークを選択します。」年配の人に話したのであった。
クローザーが、最後のボールを投げた。
コンピューターが、振りに行く…。
「ストライク…である。」
木嶋は、
「ようやく…終わった。」安堵の表情を浮かべたのだ。
年配の人も、
「お兄ちゃん…良かったね!」木嶋に声をかけたのであった。
木嶋は、
「ありがとうございます。アドバイスが良かった…おかげで勝ちました。」年配の人にお礼を述べていた。
年配の人は、
「久しぶりに興奮をしたよ。ありがとう。」木嶋に伝え、その場から離れて行ったのであった。