第525話
木嶋は、半信半疑ながらも、《セーフティバント》を試みた。
意外にも…コンピューターは、木嶋の作戦に撹乱していた。
「なるほど…意外な戦略があるんだな!」木嶋は、年配の人の意見が正論だと思っていた。
年配の人は、
「お兄ちゃん。ノーアウトのランナー…どうするつもりかな?」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「そうですね!バントの構えから《バスターエンドラン》をしようかと考えています。」年配の人に話していた。
年配の人は、
「バスターエンドランか…!戦略的に悪くないね。自分なら、初球にスチールするよ。」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「えっ…」驚いた表情を見せながらも…
「初球に、いきなり…スチールですか?随分、思い切った作戦ですね。確かに、コンピューターの裏を斯くには良いかも知れません。」年配の人の意見に理解を示していた。
年配の人は、
「やって見ようか!」木嶋に、スチールするように促したのである。
木嶋は、スチールのサインを出した。
コンピューターは、無警戒だった。
楽に…セカンドまで、ランナーを進めることが、出来たのである。
「さて…ここから、どうしましょうか?」年配の人に尋ねていた。
年配の人は、
「そうしたら…送りバントをしようか!そうなれば、ワンアウトで、ランナーがサード。追加点のチャンスは広がるよ。」木嶋に話していた。
木嶋は、送りバントをした。
3塁線に、上手く決めた。
コンピューターが、アウトにしてのは、ファーストである。
これで、チャンス拡大である。
「ワンアウトで、ランナーがサード。」
「普通に考えれば、 外野フライでも、得点が奪えるはずである。」
チャンスで、ピッチャーの打順まで回って来た。
「ここは、代打を出して…チャンスをものにして行きましょう。」木嶋は、年配の人に話していた。
年配の人も、
「そうだよ。野球は、点取りゲームなのだから、1点でも多く取らないと!」木嶋を諭したのである。
木嶋は、コンピューターのピッチャーが、右ピッチャーなので、セオリー通り…左バッターを出した。
コンピューターも、木嶋たちの戦略に、掻き回されているばかりではなかった。
左ピッチャーを投入したのである。
左対左。セオリー通りである。
木嶋は、
「残っているバッターも少ない。代えても…仕方ないですかね?」年配の人に尋ねていた。
年配の人は、
「そうだね。選手も…残り少ないから、まだ、この先もあったら、元も子もないぞ!」木嶋に伝えたのである。
木嶋は、
「最大の山場だ。点が、入るか?入らないか?で大きく流れが変わる。」気を引き締めていた。
「カキーン」
木嶋のチームの左バッターが、力強い打球を上げた。
その打球は、一直線に、ライトスタンドに消えて行った。
「やりました。ツーランホームラン。」両腕を突き上げたのであった。
これで、木嶋のチームは…4点のリードになったのである。