第523話
木嶋は、
「何とか…このノーアウトのランナーを抑えて、自分のチームに勝利に導くように、切り抜けて行きましょう。」年配の人に伝えた。
年配の人は、
「相手は、左バッター。内角低めを攻めたらどうだろうか?」木嶋にアドバイスをした。
木嶋は、
「内角低めですか?その方が、アウトに出来る確率は高いかも知れませんが、ランナーをサードまで進めてしまう可能性もあります。」年配の人に告げた。
年配の人は、
「リスクを恐れていたら、何も出来ない。一か八か?ここは、勝負だ。」年配の人は、木嶋に熱く語っていた。
木嶋は、
「リスクを恐れていても、仕方ありませんね!出来るだけ…セカンドランナーを進めないように頑張ります。」年配の人に背中を押されたのである。
初球…内角低めに、ストレートを投げた。
コンピューターは、様子を見たのか?
余裕の表情で見送っていた。
木嶋は、
「初球を見送ったか?内角を意識していないのか?それとも、ストレートではなく、変化球を待っているのか?今の段階では、分からない。今度は、外角高めに、ストレートを投げて見ましょうか?」年配の人に聞いていた。
年配の人は、
「そうだね。外角高めにストレートを投げて見ようか?相手の狙い球が分かるかも知れない。」木嶋の意見に同意をしたのである。
2球目…外角高めにストレートを投げた。
ここでも、コンピューターは…ストレートを見送った。
カウントは、1ストライク…1ボール。
明らかに、木嶋を撹乱している。
木嶋は、
「さて…どうするかな?カウントは、1ストライク…1ボール。平行カウント。明らかに、ストレート狙いではない。変化球狙いだ。何の球種を選択しようか?」頭を抱えていた。
年配の人は、
「お兄ちゃん、このピッチャーの持ち球は、何があるのかな?」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「ストレートの他に、スライダー、シュート、フォークですね。」年配の人に答えていた。
年配の人は、
「それなら、外角低めに…シュートを投げたらどうだろう?引っ掛けて、サードでアウトになるかも知れないよ。」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「そうですね。自分は、スライダーを内角低めに投げるよりかは、いいかも知れないですね。」年配の人の提案を受け入れたのだ。
3球目…外角低めに、シュートを投げた。
コンピューターが、打ち返した。
木嶋は、
「ヤッター。サードゴロだ。」
セカンドランナーを戻して、ファーストに送球した。もちろん、アウトである。
「やはり…コンピューターは、変化球を待っていましたね?」年配の人に話していた。
年配の人は、
「初球、2球目と、ストレートを振らないからね。そう感じたんだ。」木嶋に話していた。
木嶋は、
「それでも、まだ…打順は、下位打線と言っても、ピンチですよ。」年配の人に答えていた。
年配の人は、
「大丈夫だよ。この回は、無得点で終わるよ。」木嶋を励ましたのである。