第521話
木嶋は、
「自分のチームは、次の回…3番バッターからだ。気合いを入れて行こう。」年配の人に告げたのであった。
年配の人は、
「3番バッターからなのか?小細工しないで、正攻法のスタイルを崩さないで行こうか!」木嶋に答えていた。
木嶋は、
「そうですね。普通に打たせて見ます。」
コンピューターが、木嶋のチームのバッターに投げた。
「カキーン」
心地よい打球が、ライナーで、左中間の外野の間を抜けた。
木嶋は、
「良し…ランナーが、セカンド。ここからどうしようか?」一人で呟いている。
年配の人は、
「セーフティバントもいいぞ。」木嶋に話していた。
木嶋は、
「セーフティバント…か?相手も、4番バッターですから、警戒もない。悪くない作戦ですよね!」年配の人に答えていた。
木嶋のチームの4番バッターが、バッターボックスに入った。
初球…高めのストレートを見送った。
2球目…カーブに手を出した。
判定は、ファール。
カウントは、1ストライク…1ボール。
3球目…セーフティバントを試みた。
セカンドランナーは、もちろん…サードに行く。
ピッチャーは、ファーストにボールを投げた。
ここまでは、木嶋と…年配の人と…思い描いていた作戦である。 「さて…ここからですよね?」木嶋は、年配の人に問いかけていた。
年配の人は、
「勝ち越しのランナー。大切にしたいな!」木嶋に話していた。
木嶋も、そのつもりで心がけていた。
次のバッターは、5番バッターである。
「先ほどは、4番バッターが…セーフティバントでランナーを送ったので、何とか…サードランナーを返したいな!」木嶋は、どうするべきか悩んでいた。
年配の人は、
「最低でも外野フライで…勝ち越したいな!」木嶋の耳元で囁いていた。
「カキーン」
木嶋のチームの5番バッターが打った。
打球が、右中間方向に上がった。 グングン伸びて行く。
スタンドに入った。
【ツーランホームラン】
「マジで…。まさか《ホームラン》になるとは驚いた。」木嶋は、年配の人に話し掛けていた。
年配の人は、
「まだ、2点を勝ち越したいだけである。気を引き締めていこう。」木嶋に注意を促していた。
木嶋は、
「追加点を取れるように、頑張ります!」年配の人に告げたのである。
次のバッターは、6番バッター。
初球を打った。
サードゴロ。
「いきなり、初球を打ってしまった。」木嶋は、悔しい思いをしていた。
気を取り直した。
7番バッター。
「カキーン」
打球が上がったが、平凡なライトフライに終わってしまった。
木嶋は、
「すいません。簡単に打ってしまいました。」年配の人に話していた。
年配の人は、
「この回に、勝ち越しただけでも良かった。」木嶋に諭していた。
木嶋は、
「このイニングからピッチャーを代えます。」年配の人に伝えた。
年配の人は、
「そうだな。相手の目先を変えるのは、有効な策である。」木嶋に話したのである。