第517話
木嶋は、
「林田さん、まずは、1点を取りに行こうと思うのですが…どうでしょうかね?」林田さんに問いかけていた。
林田さんは、
「そうだな!まずは、1点を取らないと…相手に、【プレッシャー】を与えることが出来ないよな!」木嶋に答えていた。
木嶋は、
「送りバントと見せ掛けて…《バスターエンドラン》にしようかな?」
「それもありだな!ただ、その方法だと…ダブルプレーのリスクが高くなるぞ。ここは、きちんと…送りバントをした方がいいんじゃないか?」林田さんは、木嶋に《アドバイス》をした。
木嶋は、
「素直に…送りバントするか!」林田さんに伝えた。
コンピューターが、こちらの様子を見るために、1球…牽制球を投げてきた。
木嶋は、初回の攻撃で、牽制球に誘い出されて…アウトになり、得点のチャンスをツブしてしまった。
先ほどの反省から…ランナーのリードは、大きく取っていない。
コンピューターが、2球目を投げた。
木嶋は、ピッチャーの右横に、上手く…送りバントを決めた。
ランナーは、サードまで進塁した。
打順は、下位打線だが…
何とか…1点を取りたいところである。
木嶋は、
「林田さん、ここは…普通に打たせてもいいよね?」林田さんに聞いていた。
林田さんは、
「今は、変に、小細工するよりも、打たせて、点数を取って行こう。」木嶋に告げた。
木嶋は、肩の力を抜き、《フー》と一息つい。
次の瞬間…打球が、レフトスタンドに消えた。
「ヤッター…ツーランホームランだ。」木嶋は、表情を崩しながら…笑満願の笑みを浮かべていた。
林田さんは、
「木嶋、浮かれるには早い!まだ、1点の《ビハインド》だぞ。」木嶋に、気持ちを切り替えるように促した。
木嶋は、
「了解!…段々(だんだん)と、本調子になってきたぞ。」林田さんの忠告を聞き入れたのである。
林田さんは、
「木嶋…おおよその感覚は、掴めてきたか?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「何となくだが、掴めてきたよ。林田さんは、どこかに…移動するの?」林田さんに問いかけていた。
林田さんは、
「この…1フロア下のところに行こうかなと思っているんだ!」木嶋に答えていた。
木嶋は、
「何か…面白いゲームでもあるの?」林田さんに聞いていた。
林田さんは、
「ゲームセンターまで、バイクで来たが、バイクのゲームで…《スカッと》気持ちを切り替えたいんだ。」木嶋に告げた。
木嶋は、
「林田さんは、バイクをイジったりするのが好きだしね。この試合が終わったら…自分も、1フロア下に行きますよ!」林田さんに伝えた。
林田さんは、
「待ってるぞ。」木嶋に告げ、その場を離れて行った。
木嶋は、林田さんの後ろ姿を見つめながら…野球ゲームに没頭していた。
コンピューターも、こちらの作戦に気づき始めていた。
すると…先ほどとは違い、配球を変えてきた。
木嶋も、
「さすが、コンピューター。そう…来なくちゃあ面白くないよ。」一人で呟いていた。