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第510話

木嶋は、

「仕方ない。メールを送信しよう…。」

再び、携帯を持ち…

「今…待ち合わせ場所に到着しました。」はるかにメールを入力し、送信したのであった。

「はるかから、すぐに…返事がくればいいのに!」木嶋は、不安で心が落ち着かない。

木嶋は、はるかが、遊び人の印象を、いだかずにいられなかった。

随分前ずいぶんまえの話しになるが…

はるかと、同じ誕生日の女性が、クラブ『H』にいた。

その女性は、はるかと違い…顔は幼かった。

クラブ『H』で、働いていることは…二人ふたりとも、家族には話していなかった。

はるかは、何とか…言い訳を言って切り抜けたみたいだが…

もう一人の女性は、家族に見つかってしまい…やむなく辞める《ハメ》になってしまった。

木嶋の本音を言えば…夜の仕事をやるのは、反対である。

時給じきゅうの良いバイトを探すとなると…現実的に難しいものもある。

それは、かれんさんにも…言えることだ!

麻美や、玲は、何年も…夜の仕事をしているので、違和感いわかんなくこなして当然とうぜんだと思っている。

女子大学生じょしだいがくせいやOLの人たちが、一度…夜の仕事を経験してしまうと…

昼の仕事をしていても…身が入らない。

華やかな世界に、比重ひじゅうを置きたくなるのである。

木嶋は、はるかが、夜の仕事をしないように…何とか食い止めるのが、精一杯せいいっぱいである。

メールを送信してから…15分が経過した。

「まだ、はるかは…メールに気がつかないのかな?ため息が出そうだ!」木嶋は、ボヤいていた。

木嶋は、携帯でゲームを始めた。

以前なら…携帯でゲームをやるのは、【リスク】をともなう。

使えば使うほど…料金が加算かさんされて行く。

木嶋の会社にいる…友人の一人が、携帯ゲームにハマり、翌月よくげつ携帯料金請求書けいたいりょうきんせいきゅうしょを見て…《ビックリ》したと…

当然のことながら、携帯料金を支払えずに、回線かいせんを止められてしまったのである。

木嶋の場合は…

毎日、携帯料金を確認しながら使っていたため…高額な請求はなかったのである。

今は、一定料金を越えても、その料金以外は払わなくていいのだ。

いわゆる【パケットし放題】プランである。

【パケットし放題】プランを利用していなければ…自分も、その友人と同じ状況じょうきょうおちいってしまっても不思議ではない。

ゲームを始めてから…20分が経過した。

「あと少しで、クリヤだ。」

そのとき、木嶋の携帯が…

「ピローン、ピローン、ピローン」鳴り響いていた。

木嶋が電話に出た。

「もしもし…木嶋です。」

「私、はるかです。木嶋さん…コーヒーショップ『Y』に…まだ、いますよね?」木嶋に尋ねていた。

木嶋は、

「まだ、いますよ!」はるかに答えていた。

はるかは、

「これから向かいますので、飲み物のオーダーをしてくれますか?」木嶋に伝えた。

木嶋は、

「了解しました。」はるかに話し、電話を切ったのだ。

木嶋は、近くにいた男性店員に向かって手を挙げた。

男性店員さんは、気づいた様子で木嶋の元に歩いてきた。

いつのまにか…テーブルの上に、水が置いてあった。

気がつけば…木嶋も、飲み物のオーダーをしないで…座席に座っていたのであった。

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