第497話
はるかは、
「木嶋さんでも、そんなことをするのですか?」
木嶋は、
「そりゃあ…自分でも、携帯の中にある写真を眺めることはしますよ。はるかさん、欲しいものは見つかったのですか?」はるかに尋ねていた。
はるかは、
「先ほど…【ドラッグストア】に寄りましたが、買いたい商品が、たくさん…有りすぎて絞り切れません。木嶋さんは、この後は、どうされますか?」木嶋に答えていた。
木嶋は、
「時間的に遅いので、自分は、帰ります。はるかさん…日曜日だね!くれぐれも、待ち合わせ時間に遅れないようにね!」はるかに告げたのである。
はるかは、
「は~い。」あまり…気のない返事をしたのであった。
木嶋は、はるかに背を向けて、横浜駅へ歩き出した。
「本当に、待ち合わせ時間に来る確率は薄いな!」何となく感じていた。
その予感が、日曜日に、当たることになるのだ。
横浜駅の改札を通り…
東海道線のホームへ上がる階段を、一段飛びで、上って行く。
「間もなく…普通、東京行きが参ります。危ないですから、黄色の線の内側に下がってお待ち下さい。」構内アナウンスが流れていた。
木嶋は、慌てて…乗車位置に並んだ。
いつもなら、後ろの車両に歩いて行くが…
時間の余裕がないので、6号車に乗った。
横浜から木嶋の最寄り駅まで、凡そ…10分ぐらいである。
10分間が、【長いか?短いか?】は、人それぞれである。
東海道線に乗り、空いている座席に座った。
「どうしようかな?」
木嶋にしては、思案していた。
「新聞を読むのも、《かったるい》。そうだ…麻美さんに、メールをしよう。」
ズボンの後ろのポケットから、携帯を取り出した。
「あれっ…着信があるぞ!誰からだろう?」疑問心を抱きつつ…履歴を見たのである。
「はるかからだ。電話をした方がいいのかな?電話をしないで様子をみよう!」
普段なら、かけ直すが…今日に限れば、珍しいことだ。
木嶋が、電話を掛けないでいると…はるかが、キレることもある。
「今は、麻美さんに連絡をすることが、先決だ。」
木嶋は、受信メールボックスから…麻美のアドレスをスクロールした。
「麻美さん、日曜日に…かれんさんの病院にお見舞いに行きます!」送信ボタンを押した。
「あとは、成りゆき次第だな!」祈るような気持ちである。
もうすぐ…木嶋の最寄り駅である。
携帯が…
「ピローン、ピローン、ピローン」鳴り響いていた。
もちろん…この着信音は、はるかからである。
「今、電車の中で…携帯で話したら、睨まれるな!駅に着くまで、我慢しよう。」木嶋は、着信音に気づかないフリをしていた。
それでも、携帯の着信音が…まだ、鳴り響いていた。
「一度、切ってしまおう!」少し…残酷(ざんこくかかも知れないが、周囲から見れば…マナーである。
「プチッ」電話を切った。
「一度、切ればおとなしくなるだろう?」軽い気持ちで考えていた。
はるかには、それが、面白くなかったのである。
木嶋の携帯に…何度も、掛けまくっていた。