第490話
木嶋は、
【フー】とため息をついた。
「はるかに、どう話せば…いいのか?」そればかりが、脳裏にある。
「もう、横浜に着いたのか?何か…気が重いな!」これが、今の精神状態である。
「はるかは…何分後に来るかな?来るまでが…長いようで、短い時間だな!」心の中の叫び声が聞こえきそうである。
木嶋には、電車の中が、一番落ち着く場所なのかも知れない!
若いときなら…誰かがいないと寂しかったりするが…
今は、一人でいることが多いので…時間を有効活用出来るのである。
木嶋の会社は、年配の人が多く…10年後には、今の主力メンバーがいなくなってしまうのである。
若い社員と話しをする機会もない。
しかし…組合の文体リーダーになったことは、木嶋には…【プラス】になるはずである。
電車が、横浜駅に到着した。
あいつものように、コーヒーショップ『Y』に向かった。
「今日は、待つなんて言わずに…《スルー》すれば良かったかな?」木嶋は、はるかと待ち合わせするたびに…そう思うことが、《シバシバ》あるのだ。
「はるかと出会って…もうすぐ、3年。【石の上にも3年】と言う諺があるが、意外にも、自分で頑張っているのかな?それは、麻美、玲にも言えることだ。」自分自身を褒め称えていた。
コーヒーショップ『Y』に到着。
黙って2Fに上がって行く。
習慣と言うのは怖いものである。
「いらっしゃいませ…」男性店員さんの声が聞こえてきた。
「後から1名来ますので、2名でお願いします。」木嶋は、男性店員さんに告げた。
男性店員さんは、
「畏まりました。」メニューをテーブルの上に置いた。
「ごゆっくり…おくつろぎ下さいませ!」木嶋に声を掛け、その場から離れて行く。
木嶋は、メニューを…パラパラ捲った。
「目新しいのはないな!仕方ないかな。」ため息が漏れていた。
オーダーするのが決まり…
右手を挙げ、男性店員さんを呼んだ。
「お待たせしました。ご注文をどうぞ!」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「チーズケーキセットで、飲み物は…ホットのアメリカンコーヒーでお願いします。」男性店員くさんに話したのである。
男性店員さんは、
「他に、ご注文は…よろしいでしょうか?」木嶋に尋ねた。
木嶋は、
「いいです。」男性店員に答えたのであった。
男性店員さんは、メニューを片手に持ち…テーブルから離れたのであった。
木嶋が、コーヒーショップ『Y』に来てから…20分が経過していた。
「はるかは、何をやっているのだろう?」段々(だんだん)…待ちくたびれていたのである。
毎回ながら…待つのは辛い。
早く来るように…はるかに【シグナル】を出しても、理解されない。
木嶋の携帯が…
「プルッ、プルー、プルー」鳴り出した。
もちろん、はるかからである。
木嶋が電話に出た。
「もしもし、木嶋です。」
「はるかです。今…コーヒーショップ『Y』ですよね?これから行きますね。もう少し、待っていて下さい。」木嶋に伝え、電話を切ったのだ。