第488話
木嶋は、腕時計を見た。
「まだ、休み時間が終わるまで、猶予がある。永岡さんに電話しよう。」
普段なら、着信履歴から番号を《スクロール》するが…
永岡さんが、海外出張していたため…履歴から消えてしまっていた。
携帯の電話帳から永岡さんの名前を探し出した。 「プッ、プッ、プッ、プルー…」呼び出し音が鳴っている。
永岡さんが、電話に出た。
「もしもし、永岡だが…!」
「もしもし、木嶋です。今、富高さんの職場に行って来ました。」永岡さんに報告した。
永岡さんは、
「富高は、金曜日…平気そうか?」 木嶋は、
「富高さんは、OKの返事を戴きました。永岡さんが…日本に一時帰国していると話しをしたら驚いていましたよ。」永岡さんに話していた。
永岡さんは、
「そうか…。来週いっぱいまで、日本にいることから安心して欲しい。」木嶋に答えていた。
木嶋は、
「永岡さん…麻美さんに、話さなくていいのですか?話せば…喜んでくれると思います。また、飲みところは、横浜駅周辺でいいですか?行き当たりばったりになってしまいますが…!」永岡さんに伝えた。
永岡さんは、
「ママに、話さなくていいぞ。余計な心配を掛けさせたくないからな!飲む場所は、横浜駅周辺の方が帰るのも便利だ。あとは、木嶋に任せたぞ!」木嶋に伝え、電話を切ったのだ。
木嶋は、
「永岡さんは…麻美さんに話さなくていいとは言っていたが…本当に、それでいいのだろうか?確かに話しをすれば…【会いたい】と言うはず…!今回は、日程的にも余裕がないのかな?仕方ないか!」
【フー】ため息が出ていた。
「あっちを起てれば、こっちが起たず…こっちを起てれば、あっちが起たず…まさに、板挟みの心境だな!」これが、木嶋が置かれている状況である。
一日の仕事が終わり…
ふと…携帯の側面を見ると…
着信を知らせるサインが出ていた。
「誰からだろう?」
疑問心を抱きながら、恐る恐る画面を覗いた。
「麻美さんからだ。」
木嶋は、ホッ…とした心境であった反面…
「今…掛けるべきか?どうするべきか?」悩んでいた。
「ロッカーで着替え終わったら電話しよう。」
急ぎ足で、ロッカーに向かった。
大急ぎで着替えを終え、ロッカーの前に出た。
着信履歴から麻美の番号を《スクロール》した。 「プッ、プッ、プッ、プルー」呼び出していた。
「麻美さん…なかなか出ないな!」
木嶋には珍しく…イラだっていた。
「参ったね。出ない。あとで、かけ直すか!」一度…電話を切ったのだ。
携帯をGパンのポケットに入れ…会社の送迎バスに乗車した。
聞き慣れた着信音が聞こえていた。
「麻美さんからだ。」木嶋は、慌てていた。
会社の送迎バスとは言え…ルールを守らないといけないのである。
着信音が途切れた。
木嶋は、携帯を取り出し…麻美にメールを送信する準備をしていた。
一通のメールが、木嶋の携帯に届いたのである!
「誰かな?」
メールの受信ボックスから新着メールを《スクロール》した。
新着メールは、はるかからであった。
「木嶋さん、今日…会うことが出来ますかね?」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「いいよ…と!」二つ返事をしたのである。