第47話
木嶋は、翌週、会社に出勤した。
朝、岩坂さんは、木嶋の姿をロッカールームで声をかけた。
「木嶋、この間の金曜日…どうだったんだ?」
木嶋は、
「どうだったんだ…と、言われても…普通に話しただけですよ。それ以上のことはありません。」岩坂さんに話したのだ。
岩坂さんは、
「本当に、何もなかったのか?」再度、木嶋に確認をしたのだ。
木嶋も、
「何もありません。」岩坂さんに強く主張したのである。
岩坂さんは、残念そうに、
「何だよ。もっと、いい報告を聞きたかった。」木嶋に答えていた。
木嶋は、
「いい報告と言われてもね…まだ、お互いを知らない部分が多々あるのでね。慎重になりますよ。」岩坂さんに伝えたのだ。
岩坂さんは、
「分かった。」理解をして、作業服に着替え、ロッカールームから自分の現場に歩いていったのだ。
木嶋は、
「岩坂さんが、心配するのも仕方ないな!」呟きながら、現場に向かったのだ。
時が流れて行く。木嶋は、はるかと麻美、玲の店に、相変わらず富高さんと一緒に飲みに行くのである。
はるかのクラブ『H』は、3カ月に1回、玲のクラブ『O』は、半年に1回、顔を出していた。
木嶋は、玲から麻美が、
【転々と店の移動を繰り返している。】と話しを聞いたので、富高さんと相談して、落ち着くまで顔を出さないと決めたのだった。
ないと決めたのだった。
そんな毎日が続く中で、木嶋は、はるかと会うのが日課になっていた。
はるかにとって、木嶋がいることが、どんなに心強かったのだろうか!
木嶋は、半年ぶりに玲のいるクラブ『O』を、富高さんと一緒に尋ねていた。
木嶋は、
「お久しぶりです。」玲に挨拶をした。
玲は、
「木嶋君、お久しぶり。元気にしていた!」木嶋に話していた。
「最近、忙しくて、玲さんのところに中々、来れず申し訳ありません!」玲に謝罪をした。
玲は、
「本当だよ。クラブ『O』に来てくれないんだから…。最近、どうなの?前に、麻美さんが横浜にいたときの女性とは上手くいっているの?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「麻美さんが横浜にいたときの女性?あぁ、はるかさんですね。年齢が若いだけあって、ブランド品に目が行くのは、いつの時でも変わらないなと思うね。」玲に話したのだ。
玲は、
「木嶋君の言う通りだよ。女性は、どんなときもブランド品が欲しいよ。はるかさんが、ブランド品を欲しがるのは理解するよ。私だって、若い時はそうだったよ。今、木嶋君が買ってくれるなら欲しいよ。」木嶋に論するように話していた。
木嶋は、
「はるかさんとは、友達としての付き合いだからね。自分の年齢を考えたとき、早く、結婚したいな…と願望はある。万が一、はるかさんを、お嫁さんしたら、みんなが驚くだろうね。」玲に冗談半分に話していた。
玲は、
「木嶋君、はるかさんのことをそこまで意識しない方がいいよ。相手は若いんだから…それに、友達段階なら考えるのは早いよ!」木嶋に話したのだ。
木嶋は、
「それは言えるよね。焦りもあるのも事実だよ。」
玲は、
「焦っちゃダメだよ。木嶋君、富高さんは、はるかさんを見たことはあるの?」木嶋の左隣りにいた富高さんに尋ねていた。
富高さんは、
「はるかさんですか?見たことはありますよ。木嶋君と一緒に、横浜のクラブ『H』に飲みに出かけたときに、いつも、木嶋君の隣りにいますよ。可愛いんですよ。本当に…話していても頭が良さそうな感じですよ。」玲に答えていたのだ。
玲は、
「そんなに可愛いなら、一度、会わせて…と、前からお願いをしているのに会わせてくれないんだよね。木嶋君は…。」木嶋を羨ましそうに見つめて話していた。
木嶋は、
「はるかさんも、まだ、遊びたい年齢だし、自由にしていいと話しているよ。プライベートで会えなくても、クラブ『H』に行けば、いつでも会えるからね!」玲に伝えたのだった。