第461話
木嶋は、携帯を取りだし…発信履歴から麻美にかけた。 「プッ、プッ、プッ、プルー」呼び出し音が鳴り響いていた。
「もしもし…麻美です。」麻美が電話に出た。
木嶋は、
「麻美さん、今から、クラブ『U』に向かいます。もう少しの辛抱ですので待っていて下さい。。」麻美に告げた。
麻美は、
「麒麟のように首を長くして待っているので、何も手土産は、いらないから早く来て下さい。」木嶋に催促していた。
木嶋は、
「麻美さん、分かりました。ご期待に沿うように…早歩きして行きます。」麻美に答え、電話を切ったのだ。
富高さんが、
「木嶋君、手土産はいらないと、麻美さん…話していたが、本当に【手ぶらで】いいの?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「無理に持って行くこともないと思うよ。永岡さん…いいですよね?」 永岡さんに問いかけていた。
永岡さんは、
「木嶋、店で大きな《イベント》を開催しているなら持って行かないとマズイが…今の時期は、何もないはず…。【手ぶら】でいいだろう!」木嶋に答えていた。
その言葉を聞いて安心していた。
大通りの信号を渡り…歩き慣れた道を歩いて行く…。
木嶋は、いつも感じていることは、
関内は…横浜駅と違い、人通りが少ない。
元々(もともと…か官公庁が多いので、時間が経つにつれて…寂しくなって行く。
考えてみれば…麻美は、夜の仕事をしていて…関内歴は長い。
一時期…横浜、新横浜にもいたが、ここが一番落ち着くのであった。
木嶋は、横浜や関内で飲む機会が増えたが、会社の最寄り駅近くでは、飲む機会が減っていた。
「自分も、富高さんも、帰り道で飲んだ方が気楽である。会社の最寄り駅だと…時間を気にしないといけない。」
木嶋は、そんな思いがあった。
もちろん、富高さんも、同じ意見である。
最近は、小室さん、永岡さんと一緒に飲んでいると、富高さんは、木嶋に話していた。
富高さんは、千葉の船橋から通勤をしている。
帰り道で、缶ビールや缶酎ハイを飲むのが楽しみなのだ。
永岡さんが、
「木嶋、大分歩いているように思えるが、気のせいだろうか?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「普通に歩けば、早く着きますが…瓶ビールを飲んで、酔いがありますから、《歩くスピード》が《ダウン》》していますね。」永岡さんに答えていた。
永岡さんも、薄々(うすうす)気がついていた様子である。 富高さんも、
「木嶋君…永岡さんではないが…自分も、歩き疲れて来たよ!」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「もうすぐだよ!」永岡さんと、富高さんに声を掛けていた。
目印のコンビニが見えてきた。
麻美のクラブ『U』は近い。
木嶋は、ビルの前に人が立っているのが分かった。
「誰だろう…?」
目を擦りながら見つめた。
「木嶋君…遅いよ!」麻美の声である。
木嶋は、
「自分たちの到着を待ちきれなくて、迎えに来たの?」
「そうですよ!麻美は、木嶋に話しながら…
「永岡さん、富高さん、いらっしゃいませ…」永岡さんと、富高さんに声を掛けたのである。
富高さんが、
「待たせてゴメンね!」麻美に、優しあた言葉を返したのであった。