第449話
再び、変化球のバッターボックスに入った。
「良し…今度は、ホームランの的に当てる気持ちで、スイングをするぞ。」
木嶋は、先ほどとは違い…変化球が落ちきる《ポイント》に打つことを決めた。
「ヒューン、ヒューン」アームが回っている音が聞こえる。
「良し…次だな!」
木嶋は、待ち構えていた。
「カキーン、カキーン」
真芯に当たり、打球が、上がり始めた。
「段々(だんだん)と、いい調子になってきたぞ。」
全球を打ち終えた。
木嶋は、管理人さんに…
「ありがとうございます。」頭を下げ、お礼を述べた。
管理人さんは、
「いえいえ…お付きあい頂き、ありがとうございました。また、次回も来て下さいね!」木嶋に、社交辞令で伝えた。
木嶋は、
「また、時間があれば、打ちに来ます。」管理人さんに伝え、バッティングセンターから出て行った。
【 バッティングセンターが、閉鎖になるのか…?世の中、不景気なんだな!】
ため息をつきながら…会社の最寄り駅に向かった。
会社の送迎バスは、毎日…バッティングセンターの横を、通り過ぎていた。
木嶋が、バッティングセンターに行ってから1ヶ月が経過していた。
日頃のストレス発散するため…再び、バッティングセンターに向かった。
「あれっ…照明が消えていて人気がない。」
そこに、1枚の貼り紙に気がついた。
【当バッティングセンターは、先月末で閉鎖になりました。長い間…ありがとうございました。】
管理人さんから、閉鎖の話しは、聞いてはいたが…
もう、営業を止めてしまうとは、驚きを隠せずにいた。
木嶋は、
「管理人さんは、いつ閉鎖になるか?判っていたんだな。それだから…自分に、《サービス》することはないな?」心の中で呟いた。
携帯が…
「プルッ、プルー、プルー…」 鳴っている。
木嶋が、電話に出た。
「もしもし…木嶋です!」
「永岡だが…木嶋、今、大丈夫か?」永岡さんが、木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「今、大丈夫ですよ。」永岡さんに答えた。
「いきなり…本題に入るが、木嶋は、来週の金曜日…予定はあるのか?」永岡さんが、木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「来週の金曜日ですか…?手帳を出しますので、少しお待ち下さい。」立ち止まり…リュックから手帳を取り出した。
「え~と…来週の金曜日は、予定が空いています。大丈夫ですね。」永岡さんに答えていた。
永岡さんは、
「富高を連れて、クラブ『U』へ飲みに行こうと思うが、木嶋の知り合いに連絡をとってくれないか?」木嶋に伝えたのだ。
木嶋は、
「いいですよ。富高さんは、クラブ『U」に行くことは理解ししているのですか?」永岡さんに聞いていた。
永岡さんは、
「富高は、理解をしている。もちろん、木嶋も、一緒に行ってもらうぞ!」木嶋に告げた。
木嶋は、
「分かりました。小室さんは、誘いますか?」永岡さんに一任した。
永岡さんは、
「小室が来れるならいいぞ。」木嶋に告げた。
木嶋は、
「永岡さんと話しが終わったあとに、小室さんに確認します。折り返し…連絡をします。それでいいですか?」永岡さんに尋ねていた。
永岡さんは、
「木嶋…あとは頼んだぞ!」木嶋に伝え、電話を切ったのだ。