第445話
「いずれ…永岡さんも会社を定年退職してしまう。役職が解かれたとき…何処に配置転換されるか分からないよね。退職金の金額は変わらない。逆に言えば、いつ辞めても同じだよね!」富高さんに話したのだ。
富高さんも、
「木嶋君が、良い方向に捉えないといけないよ。」木嶋に諭したのだ。
木嶋は、
「そうだよね。貴重な…ご意見ありがとうございます。」富高さんにお礼を述べたのである。
富高さんは、
「今さら、そんなに、畏まらなくてもいいよ。」木嶋に肩の力を抜くように伝えたのである。
木嶋は、
「麻美さんには、これから話しをします。その方がいいよね?」富高さんに、確認をしていた。
富高さんは、
「うん。そうだね。麻美さんに連絡を入れたら…結論を教えてくれる…?」木嶋に話したのである。
「それでは、一度、電話を切ります。」木嶋は、富高さんに話し、電話を切ったのだ。
携帯の発信履歴から、麻美の番号をスクロールした。 「プッ、プッ、プッ…プルー」呼び出し音が鳴り響いている。
麻美が電話に出た。
「もしもし…麻美です。」
「木嶋です。先日は、お世話になりました。麻美さんに、大切な話しがあります。」木嶋は、麻美に期待を持たせる口調で話し始めた。
麻美は、
「木嶋君の大切な話しって…なんだろう?はるかさんと別れたって言う報告かな?」木嶋に尋ねたのである。
木嶋は、
「残念ながら…はるかさんと別れた話しではありません。実は…永岡さんのことです。」麻美に伝えたのだ。
麻美は、
「永岡さん…先日、来て戴いて、名刺交換したばかりですよ。」木嶋に答えたのである。
木嶋は、
「永岡さん…今年の会社で30年永年勤続表彰を受けます。年内までいるのか?年度末なるのか…現時点では分かりません。退職するのは事実です。」麻美に伝えたのだ。
麻美は、
「木嶋君…冗談でしょう?そんな話しをしていなかったよ。」木嶋に逆質問したのだ。
木嶋は、
「自分も、そう思いたいのですが…永岡さん、自分の現場まで出向いて戴き、真実を告げられました。それを知ったときは、《ショック》でしたよ。」麻美に答えたのだ。
麻美は、
「私は、木嶋君が《ショック》を受ける気持ちは理解出来るね。クラブ『U』知り合えたばかりで、お別れなんかしたくない。永岡さんの決意を覆すことは出来ないの?」木嶋に問いただした。
木嶋は、
「麻美さんに、電話をする直前…富高さんへ電話をしたのです。」麻美に告げたのである。
麻美は、
「富高さん、知らなかったの?」
「富高さん、永岡さんと飲み機会があり…そのときに決意を聞いたと話していました。」木嶋は、麻美に答えたのだ。
麻美は、
「そうだったんだ。」木嶋の言葉に頷いていた。