第441話
数日後…
永岡さんが、木嶋のいる職場に出向いて行く。
「木嶋、今…話しをしても大丈夫か?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「短時間ならいいですよ。三谷さん、少しの間お願いします。」三谷さんに話し…仕事をしていた手を止め…永岡さんの元に歩いて行く。
「永岡さん、どうなされたのですか?」永岡さんに問いかけていた。
永岡さんは、
「自分は、もうすぐ勤続30年になる。会社を辞めようかと思っているんだ。」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「永岡さん、会社を辞めるなんて…冗談が、《キツイ》ですよ。」永岡さんに答えていた。
永岡さんが、仕事時間中に、木嶋の職場まで来るのは…滅多にない。
それほど…重要な話しなのである。
木嶋は、永岡さんの表情を見た。
「永岡さんの決断を覆す可能性が薄いかな!」心の中で呟いていた…。
「分かりました。」永岡さんに返答したのである。
永岡さんは、
「木嶋、会社の30年勤続表彰は、まだ先だ。それまでの間、関内のクラブ『U』に行こう。」木嶋に話したのだ。
木嶋は、
「分かりました。永岡さんのご都合を、いい日にちを教えて下さい。」永岡さんに伝えた。
永岡さんは、
「一度、事務所に戻って、予定を確認したら木嶋に連絡する。それでいいか?」木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「それでいいですよ。休み時間に連絡を戴ければ対応が出来ます。」永岡さんに伝えた。
永岡さんは、
「うん。」一言告げ…木嶋の元を離れて行った。
木嶋は、
「永岡さん…勤続30年で辞めてしまうのか?その年齢で退職しても、恐らく…やりたいことがあるのかな?」永岡さんの決断を理解しようとしていたのであった。
「三谷さん、ありがとうございました。」三谷さんに話したのだ。
三谷さんは、
「木嶋、どうしたんだ…浮かない顔をして?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「永岡さん、勤続30年で辞めてしまうんだ。」三谷さんに答えていた。
三谷さんは、
「30年か…?その気持ちは理解出来るよ!」
「なぜ?理解出来るの?」木嶋は、不思議な思いを抱いていた。
「30年が…【キーワード】なの?」三谷さんに尋ねていた。
三谷さんは、
「そうだよ。」あっさりと、木嶋に告げた。
木嶋は、ズッコケそうになりながらも…
「三谷さん、答えを教えて下さい。」三谷さんに嘆願した。
三谷さんは、
「勤続30年で、退職金が満額なんだ。」木嶋に真実を伝えた。
木嶋は、驚いた様子で…
「退職金が満額って…どういうことなの?」三谷さんに問いかけていた。
三谷さんは、
「退職金の計算が…そこで満額なんだ。」
「へぇ~そうなんだ。」木嶋は、未だ に納得が出来ずにいたのである。
三谷さんは、
「もし…理解が出来ないなら、後で、組合に聞いてみたらどうだろう?」木嶋に、助け船を出した。
木嶋は、
「そうします。」三谷さんに話し、自分の作業エリアに戻っていたのである。