第436話
富高さんが、マイクを握りしめ…《いとしのエリー》を歌い出した。
永岡さんが、頷きながら…曲を聴いていた。
小室さんが、タバコに火を着けた。
「木嶋、富高は、飲むと《カラオケ》を歌うのか?」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「富高さんと、何度も飲みに行きましたが、マイクを持つことをしないよ!マイクを持つこと自体珍しいよ。よっぽど…気分が高揚しているんじゃないのかな?永岡さん…どう思いますか?」永岡さんに聞いていた。
永岡さんは、
「富高と良く…飲み歩いたが、歌う姿を見たことないぞ。」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「はるかさんは、富高さんが、カラオケを歌うなんて想像していないよね?」はるかに尋ねていた。
はるかは、
「富高さんは、独りで、飲みに出掛けたりしないですよね?」富高さんに聞いていた。
富高さんは、
「自分一人で、飲みに出掛けたことはないね…。楽しくないよ!」はるかに答えていた。
はるかは、
「木嶋さんも、富高さんと同じ意見ですか?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「そうだね。はるかさんが…クラブ『H』にいるときも、一人より二人で行った方が気分も違うね!」はるかに伝えた。
麻美は、
「木嶋君も、富高さんも《ワガママ》なんだから…木嶋にボヤいていた。
木嶋は、
「気の合う仲間がいると…いないでは全然違いますよ!」麻美に告げたのである。
麻美は、
「気の合う仲間か…私も、この世界に入る前は、たくさんいたな~ 」一昔前の思い出に浸っていた。
木嶋も…
「自分も、若いときは、陸上仲間と交流していたが、仕事が忙しくなってから途絶えてしまった。」無念の表情で語っていた。
はるかは、
「また、復活すればいいんじゃないの?」木嶋に意見していた。
「復活ね…なかなか難しい問題だよ。」木嶋は、はるかに《ポツリ》と呟いた。
はるかは、
「私なら直ぐに解決するよ。」
麻美は、
「でもね。私たちの年齢になってしまうと…途切れてしまったのを取り戻そうとすると、大変な労力を使うんだ。それがあるから、木嶋君も二の足を踏んでいると思うよ。」はるかに伝えた。
なつは、
「ふと振り返ると…私も、夜の仕事をしていると、友人たちと【スレ違いの生活】になっている。なかなか一緒に遊ぶ時間が無くて淋しい気持ちです。」はるかに告げた。
はるかは、
「私は、クラブ『H』では、アルバイトの感覚でしたよ。」なつに話していた。
なつは、
「私も、はるかさんを見習って…木嶋さんみたいな素敵な人を見つけたいと思います。」はるかに答えていた。
麻美は、
「なつさんも、あいかさんも、さくらさんも、目標があって…この業界に入って来たのですから、頑張ってほしい。そのためには、私も…精一杯フォローします。」
なつも、さくらも、あいかも、目を輝かせていたのであった。