第434話
小室さんが、
「それでは、石原裕次郎で『北の旅人』をお願いします。」麻美に伝えた。
麻美は、
「石原裕次郎さんの『北の旅人』ですね!畏まりました。うちの店に来ている常連さんは、ファンがたくさんいますよ。」そう…小室さんに告げ、テーブルの上に置いてあったリモコンを手元に持ち、番号を入力した。
小室さんには、聞き慣れた【イントロ】が流れていた。
マイクを握りしめ…
『北の旅人』歌い始めていた。
木嶋も、大森さんも、歌うときは…
そのアーティストに、成りきって歌うのである。
もちろん、小室さんも…石原裕次郎に成りきるのである。
一曲歌い終えた小室さんは…
《フー》と息を吐き、清々(すがすが)しい 気持ちになっていた。
その表情を見ていた麻美は、
「小室さん、上手いですよ。」小室さんは、照れ臭いのか?返答へんとう)困惑していた。
木嶋は、
「富高さん、いきなり…小室さんを《トップバッター》で歌わせてしまったことに、後悔をしていますよ
。」小室さんに答えていた。
小室さんは、ニヤッと笑い…
「あとは、若手の木嶋と、富高で頑張ってくれ!」木嶋と、富高さんに、《エール》を送った。
永岡さんは、
「木嶋…あとで自分も歌うぞ!」木嶋に話したのだ。
木嶋は、
「マジですか?永岡さんが、歌う前に自分たちが歌って、場を盛り上げていきます!」永岡さんに、力強く答えていた。
永岡さんは、
「頼んだぞ!」木嶋に告げた。
富高さんは、
「木嶋君…プレッシャーを、《ひしひし》と感じるね!自分は、何を歌えばいいか?迷っているよ!」木嶋に伝えたのだ。
麻美は、
「若い女性たちが、理解出来る曲ならいいと思います。」富高さんにプレッシャーを与えていた。
木嶋は、
「若い女性たちが理解出来る曲ね…!難しいね!」麻美に伝えたのだ。
麻美は、
「みんなで踊れる曲がいいな♪」木嶋にリクエストした。
木嶋は、
「みんなで、踊れる曲ね!そうしたら…あの曲にしようか?」麻美に話しを振った。
麻美も、
「あの曲しかないね。」
あの曲とは…
自分たちと同じ年代の【アイドル】である。
「じゃあ…その曲を入れてね!」木嶋は、麻美に伝えた。
麻美は、威勢良く…
「分かりました。」と答えたのだ。
聞き慣れたイントロご流れ始めていた。
「おっ…木嶋は、この曲を歌うのか?」永岡さんが、木嶋に声を掛けていた。
木嶋は、
「永岡さん、この曲は御存知ですか?」永岡さんに問いかけていた。
永岡さんは、
「この曲で踊ると…一汗掻くのにいいかな!」
麻美は、
「永岡さん、一緒に踊りましょう!」永岡さんの右手を引っ張り、ステージに立った。
それに連れて、さくら、あいか、なつも席を立ち…踊りに行った。
富高さんも、なつに…左腕を掴まれ、ステージに上がった。
軽快なステップを、ステージにいる全員が鳴らしている。
そんなこともお構い無しに、木嶋は…ダンスビートの効いた曲を完走することに全力を傾けていた。
曲を歌い終えたときに、
【パチパチ】と全員から拍手が湧き起こったのである。