第421話
富高さんは、
「今日…木嶋君たちと店に行って、《辞めちゃダメだよ…と》本人に伝えますよ。」溝越さんに告げたのだ。
溝越さんは、
「ガツンと言わないと…本人も変わらないよ。」富高さんに話したのだ。
溝越さんは、
「大森は、三谷と一緒に行動するでいいのか?」大森さんに聞いていた。
大森さんは、
「それでいいですよ。」溝越さんに伝えた。
木嶋は、
「大森さんも、小室さんの家に一泊すれば解決する問題なのにね」諦め切れずに、ポツリと呟き、大森さんを誘ってみた。
大森さんの表情に変化の兆しが見える。
「どうするべきか?」三谷さんに問いかけていた。
三谷さんは、
「自分なら、小室さんの家に一泊するなら迷わず行くよ。」大森さんに話していた。
大森さんは、
「小室さん、今晩…自分を泊めて頂けませんか?」小室さんに尋ねていた。
小室さんは、
「俺も、大森を泊めてあげたいが…気持ちはあるが、先客がいるので無理だな!」大森さんに答えたのだ。
大森さんは、
「そうですか!」ガックリ…と、両肩を落としていた。
小室さんが、
「木嶋の家に泊まったらどうだ?」大森さんに告げた。
大森さんは、両手を一度叩き…
「そうだ。その方法もあるんだ。木嶋君も、小室さんと同じ方面だよね?今夜…泊めてくれるかな?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「残念ながら、大森さんを泊めるのは無理ですね。まるで…《田舎に泊まろう!》のパクリじゃないの?」大森さんに答えていた。
大森さんは、
「本当だよね。泊めて頂けたら…一宿一飯のお礼が出来たかもね。」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「もし、その機会があれば…期待しないで待ちますよ。」苦笑いを浮かべながら話していた。
苦い思い出が脳裏にある。
大森さんは、会社に入社してから今日(こんにちまで…
【魚を釣ったら…】
木嶋や、溝越さん、小室さんに、宅急便で送ると言っているが、年数が経過するたびに、記憶が薄れていく。
その約束を覚えているのは、木嶋だけなのかも知れない。
小室さんが、
「木嶋、大森が…一宿一飯のお礼があるなら泊めることは出来ないのか?」木嶋に尋ねた。
木嶋は、
「家族全員が寝るだけがやっとの状況なので、丁重にお断りいたします。」小室さんに告げたのだ。
溝越さんが、
「大森、飲み過ぎたら…うちに泊まればいいよ。」大森さんに誘い水を出したのだ。
大森さんも…溝越さんからの提案は…
【渡りに船】である。
三谷さんが、
「大森、そうしたらどうだ?」大森さんに聞いていた。
大森さんは、
「そうしようかな?溝越さん、万が一のときは…お願いします。」溝越さんに頭を下げたのだ。
溝越さんも、普段から、大森さんと仕事で係わっているので、悪い気はないのである。
永岡さんが、
「木嶋、そろそろ…店を出る準備を始めようか?」木嶋に声を掛けた。
木嶋は、
「そうですね。これから関内に向かわないと…段々(だんだん)と遅くなっていきますからね。」永岡さんに答えたのだ。
永岡さんが、
「店員さんを呼んで…会計伝票を貰わないと…。」木嶋に話したのだ。
木嶋は、手元にあるボタンを押したのであった。