第418話
木嶋の携帯に…
「ピローン、ピローン、ピローン」聞き慣れた着信音が聞こえた。
木嶋が電話に出た。
「もしもし、木嶋ですが…」
「私、はるかです。木嶋さん…まだ会社近くの最寄り駅で飲んでいるのですか?」はるかが、木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「そうです。会社近くの居酒屋で始まったばかり…今、全員がやっと揃ったところばかりです。」はるかに答えた。
はるかは、
「木嶋さん、関内に来る時間は、午後9時頃で大丈夫ですか?」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、電話を左手に持ち替え…
『華の舞』の外に出て行った。
「ごめんね。会話を中断して…店の中だと煩くて、聞き取れないので…外に出ました。」はるかに話し…
続けて…
「今の段階で、午後9時に関内へ行ける可能性は、正直に言えば難しいかも知れない。確率なら30%ぐらいですね。」はるかに告げたのだ。
はるかは、
「その時間が無理となると…関内に到着するのは、何時ぐらいになりますか?」木嶋に尋ねていた。
「そうだね〜。今の状況を鑑みて…午後10時ぐらいになってしまいそうな雰囲気だね。」木嶋は、はるかに伝えた。
はるかは、
「午後10時ですか…?それより、時間を1分、2分でも短縮することは出来ませんかね?」
木嶋は、
「自分と富高さんの2人で飲んでいるなら、そういうことは出来ますが、先輩方、同僚がいる以上難しいね!麻美さんの店に行くことは、理解をしているよね?」はるかに尋ねていた。
はるかは、
「そうだよね。麻美さんの店には、私も行きますが…時間が遅くなって行くと行けなくなってしまいます。」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「何で…?」疑問に思いつつ、はるかに聞いていた。
はるかは、
「私、門限があるのです。」
「はい?門限なんてあったの?」木嶋は、驚いた様子で、はるかに話していた。
はるかは、
「私が、門限があるのは…以前から木嶋さんに伝えていましたよ。」木嶋に告げたのだ。
木嶋は、頭を捻りながら考えてしまった。
「そう言えば…はるかさん、門限があるのは言っていたよ!」思い出したのだ。
はるかは、
「今日の場合は、親戚の家に泊まるので心配はないのですが、普段はあることを理解して下さい。」木嶋に同意を求めたのだ。
木嶋は、
「すいません。気がつかなくて申し訳ありません。」はるかに電話口で謝罪をした。
はるかは、
「私は、これから横浜でウインドウショッピングを楽しんでいますので、会社の最寄り駅を出るときに電話をしてくれますか?」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「会社の最寄り駅を出るときに、電話をいたします。」はるかに話し、電話を切り…
『華の舞』の中へ戻って行った。
浮かない顔をしながら、みんなのいるテーブルに座った。
三谷さんが、
「木嶋、どうしたんだ?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「遊び友達から電話が来て、なるべく早くに…関内に来て欲しい…と、連絡がありました。」三谷さんに答えていた。
三谷さんは、
「木嶋の遊び友達だろ…飲み屋の女性なら、ほっといてもいいよ。」木嶋に、気にしないように伝えたのだ。
木嶋は、誰にでも優しいので、非情になれないのであった。