第407話
大森さんは、
「木嶋君を待っていたんだ。」少し…待ちくたびれた様子である。
木嶋は、
「大森さん、待たせて申し訳ない。先ほどまで、富高さんの職場に出向いていました。」大森さんに話したのだ。
大森さんは、
「飲む場所は、送迎バス降車場とは反対側の『華の舞』だったよね?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「そうですよ。飲み会の場所に不満があるのかな?」大森さんに尋ねていた。
「飲み会の場所が不満とかではないんだ。『華の舞』に釣り仲間がアルバイトをしているんだ。」
「えっ…『華の舞』に、大森さんの釣り仲間がアルバイトしているなんて初めて聞いたよ!何か…不都合でもあるの?」木嶋が、大森さんに問い掛けていた。
大森さんは、
「アルバイトをしているとはいえ…自分が、プライベートで釣り仲間の顔を見たくないね。正直に言うと、《キャンセル》したいぐらいだよ。」
「小室さんも、右膝を引きずりながらも会社に来ています。大森さんの気持ちは分からなくないが…大勢のお客さんが、『華の舞』に来店しているので、釣り仲間がいるからなんて…気にしないほうがいいよ。」木嶋は、大森さんに伝えた。
大森さんは、
「木嶋君が言う通りだね。どうしても、自分は、周りの目が気になってしまうのです。ただ、二次会には、参加が出来ないけどいいかな?」木嶋に話していた。
木嶋は、
「それは仕方ないよね。大森さんが、住んでいる場所は…湘南市だったかな?」冗談半分で、大森さんに聞いていた。
大森さんは、
「そうですよ!湘南市です。木嶋君たちと帰る方面が逆になります。」
木嶋は、
「そうだよね〜。大森さんが、二次会に参加出来ないのは《織り込みずみ》です。自分たちは、関内駅に行って…帰るにしても、東京方面に上がっていけばいいからね。」納得した表情で、理解を示し…
続けて…
「またの機会に、二次会参加すればいいよ。」大森さんに伝えた。
大森さんは、
「そうだね。木嶋君、気を遣わせて悪いね。」木嶋に話していた。
木嶋は、
「気を遣わせたなんて言わなくていいよ。同じ同年代。『華の舞』で盛り上げて戴ければいいですよ。ちなみに、釣り仲間は、男性?女性?どちらかな?」大森さんに期待を込めていた。
大森さんは、
「男性?女性?どちらでもいいではないか?」口を尖らせて、木嶋に話していた。
木嶋は、
「そこまで、《ムキ》になるところを見ると…女性だな?」大森さんに、《ズバッ》と切り込んでいた。
「女性とは限らないよ!」大森さんは、目を吊り上げて木嶋に答えた。
木嶋は、
「分かったよ。もう…話しを打ち切りましょう!当日が楽しみだね!」大森さんに話したのだ。
木嶋と、大森さんは、2人で飲みに行くことがある。
居酒屋やカラオケボックスで、鯣を《ツマミ》で良くオーダーする。
鯣と言うのは…
【噛めば噛むほど…味が出る。】
大森さんは、酔えば酔うほどに饒舌になる。
木嶋は、そこを狙っていたのだ。
「それでは、大森さん…また、夕方ですね!」大森さんに話し、職場に戻って行った。
職場に戻ったと同時に、
「キーン、コーン、カーン、コーン」とチャイムが流れていたのである。