第406話
昼休みになり…食堂で、食事を終えた木嶋は、富高さんのいる職場に、少し早歩きで向かった。
「この工場の中は、蒸し暑く感じる!自分のいる工場が、まだ涼しい。」ボヤながらも…富高さんを目で追いながら探していた。
いつものように、椅子に座りながら新聞を読んでいた。
「富高さん…」木嶋は、富高さんに声をかけた。
富高さんが、
「あっ…木嶋君。これから、職場に行こうと思っていたんだ。」木嶋に答えていた。
木嶋は、
「富高さん、今日…大丈夫ですか?」富高さんに問い掛けた。
富高さんは、
「うん。今日は、5時で上がるよ。木嶋君たちも大丈夫なの?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「午前中…30分ぐらい《機械トラブル》がありましたが、今は順調です。午前の休み時間に、はるかさんから電話が入り…午後9時頃に関内へ向かうと情報が入りました。」富高さんに告げた。
富高さんは、
「はるかさんも、麻美さんに会いたいから気合いが入っているね。今日の主役は、みんな勢揃いしたのかな?」
「もちろん、小室さん、大森さん、三谷さん、全員が、一人も欠けることなく参加をします。あとは、永岡さんの会議が長引くか?どうかに掛かっていますね。」木嶋は、富高さんに話したのだ。
富高さんは、
「あとは、永岡さん次第か…。場所は教えてあるのかな?」木嶋に尋ねたのだ。
木嶋は、
「飲む場所は教えてあります。麻美さんの店に、何人ぐらい連れていけるのかな?と…そう思っています。」富高さんに答えたのだ。
富高さんは、
「全員が、麻美さんの店に行くとは限らないからね。大体…3人ぐらいじゃないのかな?」
「自分も、富高さんと同じ意見です。多分…大森さんは、距離的に、家が遠いから無理だと思います。それ以外のメンバーは大丈夫じゃないのかな?帰る方向が同じだからね。」木嶋も、不安になりながらも、富高さんに、そう話していた。
富高さんは、
「木嶋君、大森さんのところに行かなくていいのかな?」木嶋に気を遣ってくれたのだ。
木嶋は、時間を確認した。
「もう…こんな時間か?マズイな!そろそろ向かわないといけません。富高さん、また夕方ですね。」木嶋は、富高さんに話し、その場から離れて行った。
小走りで、大森さんのいる場所にきた。
周りを見渡しても、大森さんの姿が見えない。
「大森さんの携帯に電話をしてみよう!」
「プルッ、プルー、プルー」呼び出し音が鳴っている。
「もしもし…大森です。」
「木嶋です。大森さん、今…どこにいますか?」木嶋は、大森さんの居場所を尋ねていた。
大森さんは、
「今ですね…小室さんの職場で、煙草を吸いながら会話をしています。」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「これから、そちらに向かいますので、その場を離れないように…。」大森さんに念押しした。
大森さんは、
「小室さんと一緒に、木嶋君が来るのを待っているね。」木嶋に伝え、電話を切ったのだ。
木嶋は、
「大森さん、煙草なんか吸って身体は大丈夫なのかな?」
富高さんは、煙草を吸うのを医者から止められているはずである。
一時期、肺炎で苦しんでいたのを、木嶋は覚えていた。
木嶋は、小室さんの職場に着いた。
「大森さん、煙草を吸っていて大丈夫なの?」大森さんに問い掛けていた。
大森さんは、
「煙草は吸っていないよ!」木嶋に答えたのであった。