第405話
丹下さんが、汗をかきながら…必死に修理をしている。
機械トラブルのあった場所から…
「木嶋…修理が完了したぞ!」丹下さんが、木嶋に告げた。
木嶋は、大急ぎで機械トラブルがあった場所まで小走りで行く。
「ありがとうございます!」丹下さんに頭を下げた。
「溝越さん…修理完了しました。」すかさず…溝越さんに報告をした。
溝越さんは、
「木嶋、《ロスタイム》は、何分ぐらいだ?」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「えっと…《ロスタイム》は、30分ですね!ギリギリで、挽回出来る時間ですね!」溝越さんに伝えた。
溝越さんは、
「分かった。何とか…挽回しよう!」木嶋に話しながら…その場を離れて行く。
木嶋は、
「挽回出来るかな?」正直に言えば、綱渡りの状況で不安がいっぱいである。
溝越さんとの会話を聞いていた三谷さんが、
「木嶋、溝越さんに…強気なことを言って大丈夫か?」木嶋に問いただしていた。
木嶋は、
「強気なことを、溝越さんに言わないと…納得してくれないでしょう?それは、三谷さんも、理解をしているはずです。」三谷さんに同意を求めた。
三谷さんは、
「それも、そうだな!弱気なことを言えば、溝越さん、怒鳴るのは目に見えているから…」
「それが答えです。」木嶋は、三谷さんに告げたのだ。
午前10時の休憩時間を告げるチャイムが…
「キーン、コーン、カーン、コーン」鳴り響いていた。
「これから、大森さんのところに行かないといけないな!」木嶋は、一人で呟いていた。
「ピローン、ピローン、ピローン」携帯の着信音が鳴っていた。
木嶋にしては、休み時間に携帯を持ち歩くのは珍しい。
画面を確認すると…はるかでだった。
「もしもし…木嶋ですが…!」
「私、はるかです。木嶋さん、今…大丈夫ですか?」はるかが、木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「今、午前の休憩時間ですが…そんなに時間の余裕はないですよ!」はるかに答えた。
はるかは、
「何分ぐらいありますか?」
「あと…7分ぐらいだね!」木嶋は、はるかに伝えた。
はるかは、
「それでは、手短に話しますね。今日、午後9時過ぎに関内へ行けそうです。」木嶋に話したのだ。
木嶋は、
「はるかさん、了解しました。自分たちも出来る限り…その時間に関内へ着くように努力します。」はるかに答えたのだ。
はるかは、
「なるべく早くに関内へ来て下さいね!」木嶋に伝え、電話を切ったのだ。
木嶋は、
「これで、今日の主役たちが勢揃いしたな!」安心したのか?思わず本音が出てしまった。
周りに誰も聞いている人はいなかった。
柱時計を見ると…
「もうすぐ…休み時間が終わってしまうか!」呟いていた。
木嶋は、目の前にある自動販売機で、缶コーヒーを購入した。
取り出した瞬間…
「キーン、コーン、カーン、コーン」休み時間の終わりを告げるチャイムが、工場内に鳴り響いていた。
木嶋は、
「あら…休み時間が終わってしまった。缶コーヒーを飲む時間もないのか!」ガックリとうなだれていた。
「仕方ない…昼休みに飲むかな!」気を取り直して、自分の作業エリアに戻って行くのであった。