第404話
自分の職場に戻って行く…
「木嶋…小室さん、会社に来ていたのか?」三谷さんが、木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「会社に来ましたよ。小室さんの顔を見た瞬間…《ホッ…と》して、安心が出来ました。」三谷さんに伝えた。
三谷さんは、
「そうかも知れないな!木嶋の心境は分かるよ。」苦笑いをしながら話し…
続けて…
「今日、仕事は、5時で終わりそうか?」木嶋に問い掛けていた。
木嶋は、
「今日は、生産も少ないし、月曜日から、少しずつ前倒しでやっていたので、大丈夫ですよ。」三谷さんに答えていた。
三谷さんは、
「それなら、俺も参加するよ!」
「そんなことだと思い、三谷さんの人数は、最初から入れてありますよ。」木嶋は話したのだ。
「最初から言ってくれよ!」三谷さんは、木嶋に告げた。
木嶋は、
「三谷さんなら、自分の考えていることが、分かってくれると思っていたので…あえて言いませんでした。」そう答えて、仕事への準備に掛かっていた。
「キーン、コーン、カーン、コーン」仕事始まりのチャイムが鳴り響いていた。
「休み時間になったら、大森さんのところに行かないといけないな!」木嶋は、一人で呟いた。
仕事を始めて…休み時間に差し掛かろうとしていた。
妙な胸騒ぎがしている。
「大きなトラブルがなければいいのだが…」
木嶋の不安が、図らずも的中してしまう。
作業エリア近くで、《機械トラブル》が発生。
すかさず…溝越さんを呼びに向かった。
「作業エリア近くで、《機械トラブル》が発生していますよ!」木嶋は、溝越さんに伝えた。
溝越さんは、
「マズイな!今…《機械トラブル》が発生したら、木嶋、今日は予定があるんだよな!早く帰れないのではないか?」木嶋に話していた。
木嶋は、
「そうですね!状況次第では、そうなりますね。ただ、物凄く…《ヤバイ雰囲気》が漂っています。」溝越さんに答えていた。
溝越さんは、保全の丹下さんを呼びに行った。
「復旧するのに短時間で終わるならいいのだが…」木嶋の願いが届くかどうかは、修理をしてみないと分からない。
保全班の丹下さんが、木嶋の元に歩いてきた。
「木嶋…どんな《機械トラブル》だ。」丹下さんが、部品台車を押して、木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「どんな《機械トラブル》か?と言われても分かりません。」丹下さんに、そう答えるしかなかった。
丹下さんが…
《機械トラブル》があった場所まで歩いて行った。
「すぐに直りますか?」木嶋が聞いていた。
「そんなに酷くないから、時間が掛からないよ。」丹下さんが、木嶋に伝えた。
「おおよそ…復旧に、どれくらいですかね?」木嶋が、丹下さんに尋ねていた。
丹下さんは、
「およそ…30分ぐらいだ。」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「分かりました。よろしくお願いします。」丹下さんに、頭を下げ話したのだ。
《機械トラブル》が、30分以内で修理が終われば、5時で仕事が終わるメドが着く。
それ以上掛かってしまうと…残業になってしまう。
今日は、永岡さんたちとの約束があるので、何とか…早く帰りたいのが本音である。
最悪な場合は、木嶋が残ればいいのである。
木嶋と丹下さんとは、かれこれ…20年ぐらいの付き合いである。
溝越さんは、
「丹下さんは、機械を直す人。」随分と見下す発言を連発しているのである。