第40話
木嶋が、再び、左腕にしていた腕時計を見た。時刻は、もうすぐ午後11時に近くになろうとしていた。
木嶋は、
「はるかさん、そろそろチェックをお願いします。」はるかに伝えたのだ。
はるかは、
「チェックですね。判りました。少し、お待ち下さい。」店員に、バツ印のシグナルを出したのだ。
店員さんが、はるかに、会計伝票を渡したのだ。
木嶋は、はるかから会計伝票を渡されたのだ。
会計伝票を見た木嶋は、富高さんと一緒に合計金額を確認したのだ。
木嶋は、即断で…
「折半で…いいかな!」富高さんに話したのだ。
富高さんは、
「折半でいいよ。」木嶋に回答した。
木嶋は、
「金額は、指3本で…。」富高さんに、確認したのだ。
木嶋と富高さんは、お互いに財布を出し、富高さんが、お金を木嶋に預け、木嶋も自分の分と併せて、はるかに渡したのだった。
はるかは、近くにいた店員さんを呼び、木嶋と富高さんから預かったお金を手渡したのだった。
すると、店員さんから、はるかに、小さい封筒にお釣りを入れてきたのだった。
はるかから、木嶋に小さい封筒を手渡された。
木嶋は、
「今日は、自分が、クラブ『H』に誘ったのですから、このお釣りは、全部富高さんが受けとって下さい。」富高さんに渡したのだった。
富高さんは、
「木嶋君、自分が全部、もらう訳にいかないよ。」木嶋に伝えたのだ。
木嶋は、
「気にしなくていいよ。」富高さんに話したのだった。
はるかも、
「そうですよ。富高さんが全部、もらえばいいのですよ。遠くから来ているのですから…。」富高さんを励ました。
はるかは、富高さんが千葉の船橋から会社まで通勤していることを知っていたのだ。
富高さんは、
「木嶋君とはるかさんが言うのなら…。」木嶋から、再び、小さい封筒を手渡されたのだった。
店員さんが、はるかの元に来て、耳元で囁いていた。
どうやら、はるかの帰宅時間と木嶋たちが、店を出なければいけない時が迫っていた。
木嶋は、
「富高さん、席を立ちましょう。はるかさんが、帰る時間も迫っているし、自分たちが、動かないといけないので…。」富高さんに話したのだ。
富高さんも、
「そうだね。はるかさんも、帰らないといけないんだよね。木嶋君、帰ろうよ。」木嶋の言葉に同意をしたのだった。
木嶋と富高さんが、席を立ち上がった。
店員さんが、
「ありがとうございました。」お辞儀をしていた。
木嶋と富高さんは、
クラブ『H』の前にある鉄の階段を
「カタン、カタン、カタン」音を立て、夜の闇に響いていく。
木嶋が、階段を降りきった時に、後ろを振り返った。
はるかが、右手を振っていた。
木嶋は、富高さんと一緒に横浜駅に向かって歩いて行く。
富高さんは、
「木嶋君、気をつかわせて申し訳ないね!」木嶋に話しかけたのだ。
木嶋は、
「そんなことはないよ。前にも、話したと思いますが、富高さんが、楽しめればいいですよ。なかなか、飲みに行く機会がないですから…。」富高さんに話したのだ。
富高さんは、
「そうだね。あまり一緒に飲みに行く機会もないよね!」木嶋と、話しながら横浜駅のキップ売り場まで来たのだ。
木嶋は、
「ここからの船橋までな交通費は…890円か…。」小さな声で呟いた。
木嶋は、ポケットから財布からお金を取り出し、キップ券売機に入れた。
890円のボタンを押し、キップを富高さんに手渡し、お釣りは、木嶋が財布に入れたのだった。
富高さんは、
「木嶋君、キップまで買ってもらって悪いね!」木嶋に伝えたのだ。
木嶋は、
「どう致しまして。富高さん、どうしますか?東京駅まで、東海道線で行って乗り換えるか?ここから、総武線で帰った方がいいか?判断は、委ねますよ。」富高さんに、問い掛けたのだ。
富高さんは、
「木嶋君には、悪いがここから、総武線で帰りますよ。乗り換えがない方が、時間的にゆとりがあるからね。」木嶋に伝えたのだ。
木嶋は、
「分かりました。気をつけてお帰り下さい。」富高さんに伝え、
木嶋は、東海道線のホームに…富高さんは、総武線のホームに上がって行った。
富高さんが、乗る総武線が先に来たのだ。
「プルー」発車ベルが鳴っている。
ドアが、
「プシュー」と音を立てて閉まったのだ。
電車が、ゆっくり走り出した。
少ししてから、木嶋の乗る東海道線が来た。
「プルー」発車ベルが鳴り響いている。
ドアが閉まり、木嶋の乗った電車が、横浜駅をあとにしたのだった。