第398話
木嶋の携帯が…
「ピローン、ピローン、ピローン」鳴り響いていた。
ディスプレイを覗くと…
「はるかからである。」
「もうすぐ来ると言ってくれるのかな?」内心ワクワクしている。
木嶋が電話に出た。
「もしもし…木嶋ですが…!」
「はるかです。木嶋さん、いつもの待ち合わせ場所で、どれくらいいますか?」はるかは、木嶋に尋ねていた。
木嶋は、
「もちろん…いつもの待ち合わせ場所で、コーヒーを飲みながら寛いでいますよ。待ち時間は、10分ぐらいですかね。」はるかに答えた。
「そうですか!私は、今…相鉄ジョイナスで、洋服を試着中なので、もう少し待つことは出来ますか?」はるかは、木嶋に伝えた。
「待つことは出来ますが、もう少しって…おおよそ、何分ぐらいですか?」
木嶋が、はるかに、時間を問いかけるには理由があったのだ。
基本的に、女性は、時間にルーズだと言うのは、頭の中で理解をしている。
待ち時間が長くなればなるほど…時間を潰すのにも困ってしまう。
本当に、約束したその場所に来るのか不安になってしまう。
実際、女性と、約束をして、スッポカされたことが、何度あるか分からない。
はるかは、特にその傾向が顕著に現れるのである。
木嶋の頭の中には、はるか=遊び人のイメージがある。
はるかから見ても、木嶋は=遊び人だと思われているのかも知れない。
「そうですね〜。まだ、あと20分ぐらい掛かってしまいますが…木嶋さん、時間は大丈夫ですか?」はるかは、木嶋に聞いていた。
木嶋は、腕時計で時間を確認していた。
「午後8時15分をなったばかりか…40分ぐらいなるのかな!」一人で呟いていた。
続けて…
「了解しました。午後8時40分までには、コーヒーショップ『Y』に来て下さい。」はるかに告げた。
はるかは、
「は〜い。分かりました。」木嶋に伝え、電話を切ったのだ。
木嶋は、はるかの言葉を信用していなかった。
なぜなら…自分で伝えた時間に、一度も来たことがなかった。
何度言っても、
【馬の耳に念仏】である。
直訳すると、
人の言うことを理解をしているようで、理解をしていないのである。
「はるかが、コーヒーショップ『Y』に来るのは、午後9時ぐらいかな?」木嶋のコンピューターは、そう解析していた。
その読み通りの展開になるとは考えてもいなかった。
木嶋も、朝が早いので、【タイムリミット】を設定しないと辛いのである。
確かに、【タイムリミット】を設定してまで、はるかと会わなくても良いのではないか?と言う麻美や玲の意見もある。
冷静に考えれば…前から、麻美や玲の言っていることは正解である。
【木嶋君が、はるかさんの掌で躍らされるのが嫌なんだ。】
その言葉を聞いたとき、ショックだった。
【自分は、はるかさんが、そんな人だと思わない。】
木嶋は、麻美や玲に言い返したのであった。
二人は呆れていた。
【どうなっても知らないよ。】麻美が、木嶋に話していた。
木嶋は、
【そのときは、そのときだよ。】開き直るしかなかった。
数年後に、木嶋の判断は、間違いではなかったのであった。