第384話
翌日…
木嶋は、いつもと同じ時間に家を出た。
木嶋は、改札口を通った。
何やら…最寄り駅構内でアナウンスが聞こえていた。
「先ほど…人身事故の起きました影響で東海道線、京浜東北線は、現在、運転を見合わせております。お急ぎの方は、振り替え乗車券を改札口でお配りしておりますので、京浜急行線へお回り下さいませ!」
「出足から躓くなんて…今日は、朝からツイていないな!」ボヤいていた。
続けて…
「尚、運転再開の見込みは、午前6時40分頃の予定です。」
「午前6時40分頃に再開か…ここで足止めになるよりも、京浜急行で横浜駅まで出た方が賢明かな!」木嶋は、自分自身を納得させて、振り替え乗車券を貰う列に並んでいた。
「木嶋…何やっているんだ?」小室さんが、改札口の外から、木嶋に声を掛けた。
小室さんは、最寄り駅まで、路線バスで来たのだ。
「あっ…小室さん、おはようございます。先ほど、人身事故が起きたらしくて…運転再開まで、30分前後待ち時間があるので、振り替え乗車券を貰って、京浜急行で横浜まで出ようかと考えていますが…」木嶋は、小室さんに伝えた。
小室さんは、
「朝から人身事故か!俺も、木嶋と同じように振り替え乗車券を貰って横浜に行くか!」
一度、改札口を通ったのだ。
並んでいる人の波が、徐々(じょじょ)に長くなり出していた。
幸いにも…
木嶋も、小室さんも、並ぶ人数が少なくて良かった。
小室さんは、右膝の軟骨が擦り減っているため…脚を引きずる仕草をしていた。
木嶋は、
「小室さん、右膝が調子悪そうだね!良い医者にかかった方がいいのでは…?」小室さんに尋ねていた。
小室さんは、
「そうだな!この近くで良い医者がないかな?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「探せばあると思うよ!」小室さんに伝えた。
小室さんにとっては…深刻な状況になっていた。
「先輩に聞くのもいいな!」小室さんは、会社の先輩に尋ねることを決めた。
木嶋は、
「小室さん、こちらですよ!」小室さんをエスコートした。
途中で、エスカレーターに乗り、下りて行く。
最寄り駅から京浜急行線まで歩いて行くしか…方法がない。
京浜急行線の改札口で振り替え乗車券を見せ、ホームに向かった。
横浜方面の階段を上がって行く。
小室さんは、手摺り掴まり、上がってきた。
息を切らせながらも…
「階段はキツイな!」木嶋に話していた。
「パァーン」
電車のクラクションが鳴った。
木嶋は、
「小室さん、電車に乗りますよ!」小室さんに声を掛けた。
小室さんは、
「おう!」威勢の良い返事が返ってきた。
電車に乗り、朝の早い時間なので…座席も空いている。
「ヨイショ!」声を出し、小室さんは座席に座った。
木嶋も、小室さんの隣りに座った。
横浜駅まで…およそ10分ぐらいである。
長距離で通勤している人は、移動している時間だけでも苦痛になっても不思議ではない。
そのことを思うと、木嶋や小室さんから見れば…まだいいのかも知れない。
車内アナウンスが、
「間もなく…横浜。横浜です。」車内に流れていた。