第38話
はるかは、
「良い言い方をすれば、人生経験が豊富な人たちから意見などを聞けるチャンスでは。」富高さんに話したのだ。
富高さんは、
「はるかさんが、今、話された言葉に納得したよ。」はるかに言葉を返したのだ。
木嶋も、はるかが話したことに理解を示していた。
はるかが、時間を気にしている。
「木嶋さん、今、何時になりますか?」木嶋に、問い掛けた。
木嶋は、左手にしていた腕時計を見た。
「今、時刻は、午後7時30分を廻ったぐらいですよ。」はるかに、伝えたのだ。
はるかは、
「木嶋さん、午後7時50分までに、クラブ『H』に出勤しなければならないので、そろそろ動きませんか?」木嶋に提案した。
木嶋は、
「富高さん、はるかさん、午後7時50分までに、お店に入らないとダメみたいなので、動きますがいいですか?」目の前にいた富高さんに尋ねていた。
「あっ、動くんだよね。いいよ!」木嶋に話したのだ。
木嶋は、
「それでは、動きましょう。」はるかに伝えたのだ。
会計伝票は、木嶋が持ちながら、店員さんに伝票を渡し、会計をしていた。
その間、はるかと富高さんは、カフェレストラン『F』のドアを、
「ガッチャン、ガチャン」と開けて外で待っていた。
木嶋が、会計を終えてカフェレストラン『F』から出てきた。
はるかは、
「ごちそうさまでした。カフェレストラン『F』に来る途中で、クラブ『H』には、連絡を入れてありますのでご安心下さい。」木嶋と富高さんに話したのだ。
その話しを聞いた木嶋と富高さんは、
「ズルッ…と」ズッコケていた。
木嶋と富高さん、はるかと3人でクラブ『H』に行く途中にある橋を、
「カッ、カッ、カッ」と靴の音を立てながら、店に向かって行った。
木嶋は、歩きながら、
「今回は、随分と手回しが早いね!」はるかに話していた。
はるかは、
「クラブ『H』には、木嶋さんと予定を入れた時に、話しをしましたよ!遅刻をしたら罰金ですからね!」
富高さんは、
「罰金なんてあるの?」驚いた表情で聞いていたのだ。
はるかは、
「ありますよ。無断欠勤や遅刻とかあるので罰金制度があるみたいです。」富高さんに答えていた。
クラブ『H』の前にある鉄の階段を、
「カツーン、カツーン、カツーン」響きかせて上って行く。
クラブ『H』の中に入ると、
「いらっしゃいませ。」威勢のいい掛け声と共に、木嶋と富高さんは席に案内されたと同時に、はるかは、ドレスを着るために、一時的に木嶋と富高さんから離れて行った。
店員さんが、
「はるかさん、少々お待ち下さい。」木嶋に、声を掛けたのだった。
はるかが来る待ち時間の間、
「いつ来ても、華やかな店だよね。」木嶋と富高さんは話していたのだった。
富高さんは、
「いつも感じるけど、自分が、ここにいてもいいのかなと感じるんだよね。」木嶋に、話していた。
木嶋は、
「富高さんが、感じていることは自分も同感です。いくら明朗会計でも、一人で来ると不安に駆られます。正直、怖いね。」富高さんに、言葉を返していた。
富高さんは、
「木嶋君が、不安に駆られる気持ちは分かるよ。」木嶋と話していた頃に、はるかが、ドレスアップして来た。
はるかは、
「先ほどは、ごちそうさまでした。木嶋さんたちは、何の話しをされていたのですか?」木嶋と富高さんに聞いてきたのだった。
富高さんは、
「クラブ『H』に来るたびに、場違いなところにいるのではないか…と、木嶋君と話していたんだよね。」はるかに答えていた。
はるかは、
「場違いなんてことは、全然ありませんよ。木嶋さんと富高さんと一緒にいるだけで楽しいですよ。気を使わなくていいですからね。」富高さんに、言葉を返したのだ。
富高さんは、
「木嶋君、今、はるかさんが話していたことは本当の話しなの…?」木嶋に聞いてみた。
木嶋は、
「はるかさんと横浜で会う機会があるのですが、一緒にいると気を使わなくていいと、常日頃から話していますよ。変に気を使われると、こちらも意識的に固くなってしまうので…。」富高さんに答えた。
富高さんも、
「そうだよね。固くなるよりはいいよね。気を使わないと楽だよね。」木嶋に言いながら、その表情は、笑顔が浮かんでいたのだった。
木嶋とはるかは、富高さんの笑顔を見た時に喜びを感じていたであった。