第377話
携帯を眺めながら…はるかからの連絡を待っていた。
はるかは、時間にルーズなところは直らない。
本人が、直す気持ちがないと言った方が正解なのだ。
木嶋は、
「待とうか?どうしようか?はるかに電話をしよう。」
着信履歴から、はるかの携帯ナンバーをリダイヤルした。
「プルッ、プルー、プルー、プルー」呼び出し音が鳴っている。
はるかが電話に出た。
「もしも〜し、はるかですが…。」
「木嶋です。いつもの待ち合わせ場所で、コーヒーを飲んでいますよ。」木嶋は、はるかに伝えた。
はるかは、
「木嶋さんからの連絡をお待ちしていました。」木嶋に話した。
木嶋は、
「自分も、はるかさんからの連絡がくるのを待っていたのですが…?」はるかに聞いていた。
はるかは、
「私が、連絡をするのを忘れていてごめんなさい。」素直に謝罪した。
木嶋は、
「お互いの連絡不足が原因かもね!」はるかに問いかけた。
電話の声では、
「そうですね…お互いの連絡不足かも知れませんね。」木嶋に答えたのだ。
木嶋は、
「なるべく早く来てね。」はるかに告げた。
はるかは、
「は〜い。」と、木嶋に返事をして、電話を切った。
木嶋は、
「自分で、決めたデットラインを守ろう。」心に決めた。
自分で決めたデットラインとは…
【ある一定時間を過ぎたら帰ることである。】
はるかのルーズな面には、呆れているのも事実である。
最大で待ち時間があったとしても…90分が限界。
木嶋も、携帯がないときに仲間を待たせた記憶がある。
自分が、その思いをするのも嫌なのである。
ふと振り返ると…はるかとは、もうすぐ2年になろうとしていた。
「はるかと、2年なら麻美さんも同じだ。」木嶋は、自分自身に褒めていち。
バルセロナオリンピックで、日本女子マラソン代表の有森裕子選手が…
「自分に、自分を褒めてあげたい。」と名言を残したが、正しく同じ心境である。
待つこと…40分が経過していた。
「コッ、コッ、コッ」階段を上がる靴の音。
思わず木嶋が振り向いた。
はるかである。
「ゴメン。大分待ったよね?」あくびれる様子を見せていた。
木嶋は、開口一番…
「待ちくたびれてしまいました。」はるかに答えた。
はるかは、
「ウインドーショッピングをしていたら、時間が過ぎてしまいました。」木嶋に頭を下げた。
内心…
怒りが、フツフツと込み上げている。
「ここで、怒りをぶつけても何も意味がない。」半ば…諦めていた。
木嶋は、
「はい。ビックカメラの頼まれ物。」はるかに手渡した。
はるかは、
「スチームアイロンを買ってきてくれたんだ。ありがとう。」木嶋に笑顔を振り撒いていた。
木嶋は、
「商品は、店員さんのオススメを購入したから、はるかさんが気に入らないかも知れないよ。」はるかに伝えた。
はるかは、
「開けてもいいかな?」木嶋に尋ねた。
木嶋は、
「どうぞ。」率直に答えた。
「どこのメーカーなんだろう?」はるかは、期待と不安が交錯している。
誰でも、自分の欲しい商品を他人に依頼をするとき…それを購入してくれれば一番いいが、空けるまでは分からない。
「これが欲しかったのです。」木嶋に答えたのであった。