第375話
横浜駅に到着。
先頭車両から南口改札口に出た。
「ここからビックカメラは近い…はるかに電話をしないといけないな!」木嶋は、一人で呟く。
階段を上がり、相鉄線近くの交番に出た。
「ここの通り沿いの店は、代わり映えがしないな!」普段から感じていた。
人込みを避けながら…
駅前の一等地には、パチンコ店が林立していた。
「どこの店も同じだ。」
店側が、いくら最先端の消臭設備を導入しても、出てくるころには、服がタバコの臭いがついている。
「健康に良くない。」
まだ、木嶋に、彼女がいないとき…
仕事帰りに寄っていたこともあった。
少額投資で、一度でも、大勝ちしてしまうと、麻薬と同じように嵌まってしまう。
生まれてから人間には、運、不運があると思っている。
資産、地位、名誉に恵まれている人、日本の人口の一握りしかいない。
自分自身に、博打センスがないのに気づき止めたことは正解であった。
何事も、そうかも知れないが…
趣味に投資をすることは、良いことだが…自分自身を破滅に追い込むことは、家族や彼女、友達関係にも迷惑が掛かるのである。
その中には、自分の生活費を削ってまでも、夢中になり、会社を欠勤したりして、借金を重ねて落ちこぼれて行く。
木嶋は、夜間高校に在学していたときも、会社に入ってから今までも、目の前で見てきた。
しかしながら…自分の力不足で、助け出すことが出来なかったのが悔しいと思ったことは、一度や二度ではなかった。
ようやく…ビックカメラの前に着いた。
案内板を見上げ…
「スチームアイロンは、家電コーナーか?」安心したかのように…エスカレーターで上の階に上って行く。
「やれやれ…」ため息がこぼれる。
「スチームアイロンは…」周囲を見渡した。
「お客様。何か?お探しでしょうか?」女性店員さんが、木嶋に声を掛けた。
木嶋は、
「パナソニック製のスチームアイロンを購入したいのですが…オススメの商品はありますか?」女性店員さんに答えた。
女性店員さんは、
「パナソニック製のスチームアイロンですか?ご予算は、どれくらいでしょうか?」
「予算は、10000円でお願いします。」木嶋は、女性店員さんに伝えた。
女性店員さんは、
「ただ今、値引きの対象の商品があります。こちらでよろしいでしょうか?」木嶋に、商品を見せたのだ。
木嶋は、
「これならいいですね。いくらですか?」女性店員さんに尋ねた。
女性店員さんは、
「こちらの商品は、15000円ですが…セール期間ですので、消費税込みで、9800円です。」木嶋に話したのだ。
木嶋は、
「はるかは、金額と、メーカーの指定していたが、商品に関しては、何も言っていないので、これにしよう。」心で呟いた。
「これを下さい。」女性店員さんに伝えた。
女性店員さんは、
「畏まりました。ポイントカードは、お持ちですか?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「ポイントカードですか?作るのに時間が掛かりますか?」女性店員さんに尋ねていた。
女性店員さんは、
「時間は掛かりません。身分証明証をお持ちですか?」木嶋に答えた。
木嶋は、
「身分証明証なら持っています。」女性店員さんに告げ、
財布からお金を取り出し渡したのだ。
女性店員さんは、
「ポイントカードを作りますので、こちらにお越し下さい。」木嶋をエスコートした。
木嶋は、案内されたカウンターで、ポイントカードの書類に必要事項を記入していた。