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第374話

最寄り駅の改札を抜け…電光掲示板を見上げた。

「東海道線か?京浜東北線か?どちらにしようかな?」木嶋は悩んでいた。

いつもなら、東海道線を選択するが、待ち合わせ時間までには余裕がある…

「京浜東北線で、ゆっくり行きましょう。」

木嶋は、京浜東北線のホームに向かった。

東海道線もそうだが…

横浜駅の改札口は、2カ所ある。

「前か?真ん中か?」

「先頭車両に乗車しよう。」

木嶋は、横浜寄りに歩いて行く。

「パアン」

電車のクラクションが突然とつぜん鳴った。

周囲しゅういを見渡すと、誰も黄色の線からはみ出していない。

「自分か?」戸惑っていた。

ごくまれに、朝の通勤のときも、クラクションを鳴らされるときがある。

先頭車両は、弱冷房車両じゃくれいぼうしゃりょうである。

「ピコン、ピコン」ドアが開いた。

土曜日の夕方であるが、乗車している人は多く感じていた。

木嶋は、空いている座席を探すがなかったのだ。

「横浜駅まで、15分ぐらいだから立つのも悪くないかな!」

ドア付近のりにつかまり、そと景色けしきながめていた。

夏も終わりが近づいているが、まだ残暑ざんしょが残っている。

「弱冷房車両と言っても、少しばかりクーラーが効き過ぎているな!」そう感じていた。

鉄橋てっきょうを渡り…

「次は、鶴見。鶴見です。鶴見線は、お乗り換えです。」女性の車掌さんの声が聞こえていた。

木嶋は、

「京浜東北線にも、女性の車掌さんがいるんだ。」めずしいと思っていた。

会社の帰宅時間に、東海道線に乗車すると、女性の車掌さんのときが多い。

京浜東北線に乗車していないと思ったほどである。

相鉄線でも、女性の車掌さんが乗車しているときがあるのだ。

電車が、鶴見駅に到着した。

「ピコン、ピコン」ドアが開いた。

意外いがいにも、鶴見駅で降りる人は、少なかった。

乗車してくる人も、数えられるくらいである。

「ピコン、ピコン」ドアが閉まった。

まだ空いている座席はない。

「本当に開かないのか?」ボヤきたくなる。

Gパンのポケットから携帯を取り出した。

「何か?新しい情報がないかな?」

携帯の情報ボックスにスクロールした。

何もなかった。

すると…携帯が鳴り出した。

「誰だよ…こんなときに…。」ふと画面を覗いた。

はるかからである。

「タイミングが悪いよ。」木嶋は、電話に出ようか?迷っていた。

「一度、電話を切ろう。」

携帯を、ブチッと切ったのだ。

マナーモードにしていない木嶋にはある。

「横浜に着いたら電話をすればいい。」木嶋はあわてていなかった。

携帯をマナーモードに切り替えた。

切り替えた途端とたん…携帯が鳴り出した。

木嶋の携帯、留守電に切り替わるのが早い。

留守電になったとき、電話が切れた。

はるかも、セッカチである。

木嶋が電話に出ないと、何度も掛けてくる。

それが、ときとして…プレッシャーになるのだ。

会社と家では、ストレスがまり…気分転換をする場所が、唯一ゆいいつ電車の中だけでは淋し過ぎるのである。

タイミングが悪いときは、どんなことがあっても電話に出れないのである。

はるかには、それが理解されない。

「木嶋さんは、言い訳しかしない。」そう言われることが頭にくることもあるのだ。

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