第373話
その内容とは…
「横浜のビックカメラで、《スチームアイロン》を買ってきて下さい。」
木嶋は、すぐに…
「ビックカメラで、《スチームアイロン》って…どこのメーカーなのだろう?情報が乏しいから分かりません!」はるかにメールをしたのだ。
はるかから、メールの返信がない。
すぐにメールの返信があるとは思わないが、心のどこかで、不安が広がっている。
「まっ…いいか!待ち合わせ時間になれば、連絡がくるでしょう。」木嶋は、気持ちを切り替え楽観的になっていた。
はるかにとって…木嶋は、
友達と言っても、
「お金を出してくれるから付き合っている。」
はるかのことは…
麻美に会うたびに言われていることである。
木嶋から見たら…
はるかも、麻美も、玲も、全員が同じだと思っている。
違いがあるとすれば…
麻美や、玲は、それだけ年齢を重ねているので、人生経験が豊富なことである。
「麻美さんと、玲さんが同じ店にいるのも、いいのか?悪いのか?分からないね!」木嶋は、心の中で答えを見つけれずにいた。
携帯が、再び…
「プルッ、プルー、プルー、プルー」鳴り出した。
木嶋が電話に出た。
「もしもし、木嶋ですが…。」
「はるかです。木嶋さん、すいません。スチームアイロンのことで伝え忘れたことがありました。」はるかは、木嶋に答えた。
木嶋は、
「連絡が途切れて…不安でしたよ。」はるかに伝えた。
はるかは、
「先ほどまで、学生時代の女友達と、《カラオケボックス》にいて、携帯の着信に気づくのが遅れてしまいました。」木嶋に話したのだ。
「友達とカラオケボックスにいたら、連絡に気づかないのも当然だよね。スチームアイロンは、どこのメーカーなの?」木嶋は、はるかに問いかけた。
はるかは、
「パナソニックのスチームアイロンで、金額は、10000円くらいかな?木嶋さん、これから家を出ますか?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、目の前にある置き時計を見た。
「午後5時前か…!」ポツリと呟いた。
「これから出ますよ。」はるかに告げた。
はるかは、
「何時ぐらいに…横浜に着きますか?」木嶋に尋ねた。
木嶋は、
「そうですね〜。午後6時ぐらいだと思います。」少しばかり…曖昧に答えていた。
普段なら…
【ハッキリ】とした時間を伝えるが…
自分自身に、嫌気が指してしまうと、
「どうでもいいや…」投げやりになってしまうことが多々(たた)ある。
はるかは、
「午後6時ですね!木嶋さん、横浜に着いたら、私に連絡をしてくれますか?」木嶋に問いかけてみた。
木嶋は、一瞬躊躇いながらも…
「分かりました。横浜に着いたら連絡をします。」はるかに答えたのだ。
はるかは、
「横浜で待ってま〜す。」元気な声で、電話を切ったのだ。
木嶋は、
「ハー」とため息をついた。
「スチームアイロンぐらい…自分で買えばいいのに…」ボヤきたくなる…。
「いつまで、こんな風な付き合いになるのだろう?【タイムマシン】に乗って、未来を覗いてみたい。」そんな発明が、いつ完成しても、この世の中不思議ではない。
21世紀になってから…
超高速で、情報が流れているのは、肌で感じ取っていた。
その情報を、掴んでいるのかは、自分自身で疑問を抱いていた。
木嶋は、家を出て…最寄り駅に向かった。
「やれやれ…最寄り駅に着いた。」
いつもより、足取りが重たかったのである。