第371話
小室さんとの会話を終えた木嶋は、麻美の携帯番号を呼び出した。
「今なら電話に出るだろう!」そう思っていたのだ。
心の中で…『ジギル』と『ハイド』が現れていた。
『ハイド』が、発信ボタンを押すのを躊躇わせていた。
なぜなら…麻美には子供がいる。
掛け時計で時間を確認した。
『ジギル』は、
「電話を掛けなよ。今は、午後4時だ!起きている可能性がある!」さらに…考え込んでしまう。
意を決し…
「一か八か?電話してみよう。」
木嶋の右手が、発信ボタンを押した。
「プッ、プッ、プッ、プッ、プルー」呼び出している。
呼び出し回数が、10回コールした。
それでも…電話に出ない。
木嶋は、電話を切ったのだ。
「まだ…寝ているのかな?」そんな心境になっていた。
着信履歴を残せば…気がついたときに電話が掛かってくるはずである。
ふと…気が付くと…メールの着信を知らせるランプが点滅していた。
「誰かな?」
受信メールボックスから新着メールをスクロールした。
「はるかからだ。」安心感が出ていた。
木嶋は、メッセージを読んだ。
「木嶋さん、今日の待ち合わせですが…午後6時30分に、いつものコーヒーショップ『Y』でお願いします。」
「いつものコーヒーショップ『Y』か?時間も、まだ余裕がある。家を午後6時に、出て行けば間に合う。」木嶋は、マッタリムードを漂わせていた。
「ひと眠りするか…」
木嶋は、クーラーと携帯のアラームを、1時間後に掛けた。 夏の暑さは、身体に応える。
涼しくして昼寝をしないと夏バテをしてしまう。
夕方5時のアラームが…
「リーン、リーン、リーン」と鳴った。
「良く寝た。」
冷蔵庫から麦茶を出し…マグカップに注いだ。
「ゴク、ゴク、ゴク…」渇き切った喉を潤していた。
木嶋は、携帯をチェックした。
「おや…着信があるぞ。」
携帯の着信履歴から探した。
「麻美さんからだ。」
すかさず…麻美に電話を掛けた。
「プルッ、プルー、プルー、プルー」呼び出し音が鳴っていた。
麻美が電話に出た。
「もしもし…麻美です。」木嶋に答えた。
木嶋は、
「麻美さん、お久しぶりです。先ほど…電話を掛けて申し訳ありません。」麻美に謝罪をした。
麻美は、
「木嶋君、気をつかってくれてありがとう。今日は、どうしたの?」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「来週の金曜日のことで電話をしたのです。」麻美に話した。
麻美は、
「急に…都合が悪くなったなんて…言わないでね。私も、それなりに女性を出勤して戴くので、ご理解願いたい。」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「今…現在で、何人の女性が出勤されるのかな?」麻美に尋ねた。
麻美は、
「今のところ…私を入れて、7人かな?」
「えっ…7人もいるの?多くない?」木嶋は、麻美に聞いていた。
麻美は、
「木嶋君が来るから、それなりの人選をしたのです。もちろん…玲さんもいるよ。」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「何で…玲さんがいるの?クラブ『O』に在籍しているんじゃないの?」驚きながら話していた。
「実はね…玲さんは、私が店を立ち上げることを相談していたんだ…。クラブ『O』から移籍の話しは、前からの了解事項だったんだ。」麻美は、木嶋に告げたのであった。