第369話
木嶋は、
「何か…疲れてきちゃったな!」精神的な不安が募り始めていた。
そう思うのも、無理はない話しである。
はるかを立てれば…麻美と、玲が…
麻美を立てれば…玲と、はるかが…
玲を立てれば…はるかと、麻美が…と言った感じの《負のスパイラル》に陥ってしまう。
《負のスパイラル》から脱出するには、どうしたらいいか…考えてしまう。
一発回答を出せば…
誰かを切ればいいと思うが…木嶋に、その決断力がないのは、自分が一番分かっている。
「はるかの連絡待ちか…?今…何時だろう?」
家の掛け時計を見ると…
「午後12時を回ったばかりか!連絡が来るまで…足止め状態になるのか!どうするか?」
我慢を限界を超えてしまうと…自分か出かけてしまう。
「これからどうするべきか?」一人で思案していた。
弾き出した答えが…
「最寄り駅の本屋で立ち読みしよう!」と結論が出た。
木嶋の家から…歩いて10分ぐらいの距離に、駅ビルと地下街がある。
書籍数が多いのは、駅ビルの方である。
急いで身支度を終え…本屋に向かう。
最寄り駅に着き…
エスカレーターに乗り、駅ビルの6Fに辿り着いた。
「フ〜」と、一息つく。
「どこのコーナーに行こうか?」考えていた。
いつもなら…
スポーツコーナーに向かうが…
そう何度も足を運んでも、書籍がたくさん出ているわけでもない。
現役の選手が引退したり、監督が勇退したときに出るので、豊富なラインナップになるのは、10月以降である。
今は、まだ夏である。
「経済の情報を入手しよう。」
木嶋は、経済本が並ぶコーナーに向かった。
良く…手に取るのは、株式四季報である。
株式四季報とは…
上場企業の経済情報が記載されている。
もちろん…木嶋が勤務している会社のことも書いてある。
一番最初に目を通すのが…自分の会社である。
その次に、目を通すのが…親会社である。
あとは…気になる企業はあるが、そのときになって見ないと分からないのだ。
「パラパラ」と、ページをめくり…左腕にしている腕時計で時間を確認した。
「まだ…午後2時か?ここに居ても…仕方がない。家に…帰るか?」木嶋は、そう考え…本屋をあとにした。
「そう言えば…昼ご飯を食べていないな?」
木嶋は、駅ビルの近くにあるコンビニ「L」に歩いていた。
どちらかと言うと…コンビニを良く利用する。
コンビニで買う物は、お菓子類が多い。
木嶋自身が好き嫌いが激しい。
弁当を買うよりは…ファーストフードに行ってしまうのである。
コンビニで美味しそうな…弁当が目を引いた。
「何だろう?」と手に取ると…
「塩カルビ弁当」である。
木嶋は、肉は食べるが、カルビは…焼肉を食べに行ったときぐらいである。
「これを食べよう。」
コンビニのレジに並んだ。
「温めますか?」コンビニの男性店員さんが、木嶋に声を掛けた。
木嶋は、
「お願いします。」男性店員さんに答えた。
「先に会計をします。398円です。」
木嶋は、財布から小銭を覗いた。
あいにく…小銭の持ち合わせがなく、1000円札を出した。
そのとき…木嶋の携帯が、
「ピローン、ピローン、ピローン」鳴り出したのであった。