第363話
女性店員さんが、
「お客様、2名でよろしいでしょうか?」木嶋に尋ねた。
木嶋は、
「はい。窓側の席が空いていれば…そちらにしたいです。」と女性店員さんに答えた。
女性店員さんは、
「畏まりました。御席の確認をいたします。少々…お待ち下さいませ!」と予約席の確認をしていた。
「お待たせしました…ご案内いたします。」木嶋たちをエスコートした。
木嶋の胸には、期待と不安が過ぎっていた。
女性店員さんの後ろを歩いて行く。
運が良く、窓側の席に座れれば夜景が見れるのだ。
「こちらです。」
案内された席は、窓側であった。
永岡さんは、
「なかなかいいところではないか?」木嶋に伝えた。
木嶋は、
「そうですね!滅多に座れませんよ!」永岡さんに話したのだ。
女性店員さんが、木嶋にメニューを渡し…
「ご注文が決まりましたら、こちらのボタンを押して下さいませ!」木嶋に告げ、テーブルから離れて行く。
木嶋は、
「永岡さん、何にしますか?」永岡さんに尋ねた。
永岡さんは、メニューを見ながら…
「メニューが豊富だな!何にしようか?《活たらば刺身》、《日高豚蒸ししゃぶ》、《北の黄金鶏味くらべ串盛り》にしようか!あと…ビールも忘れずに頼むんだぞ!」木嶋に話したのだ。
「分かりました。」
手元にあるボタンを押した。
「ピンポン」と店内に鳴り響く。
女性店員さんが、
「お待たせしました。ご注文をどうぞ。」
ハンドヘルドターミナルを持ちながら…
木嶋は、
「お願いします。《活たらば刺身》、《日高豚蒸ししゃぶ》、《北の黄金鶏味くらべ串盛り》、あと…生ビールの中ジョッキを2つ。」女性店員さんに答えた。
女性店員さんは、
「ご注文を繰り返します。《活たらば刺身》、《日高豚蒸ししゃぶ》、《北の黄金鶏味くらべ串盛り》、生ビールの中ジョッキを2つですね!以上でよろしいでしょうか?」木嶋に問いかけていた。
木嶋は、
「それで、OKです。」女性店員さんに告げた。
女性店員さんは、ハンドヘルドターミナルを腰近くにある革のケースにしまい、メニューを下げた。
良く考えると…オーダーしたものの中に、木嶋が食べれないのがあった。
それは…《活たらば刺身》である。
蟹、海老は、木嶋が苦手にしているものである。
食べず嫌いもあるが、一度…仲間と北海道にスキー旅行へ出掛けたが、小樽の寿司屋で食べても…どうしても好きになることは出来なかった。
泣きながら食べた記憶があるのだ。
今日は、永岡さんが一緒にいる。
蟹を食べないでいたら迷惑が掛かってしまう。
意を決して食べるしかない。
女性店員さんが、木嶋のテーブルに飲み物を持ってきた。
「お待たせしました…生ビールの中ジョッキです。」木嶋に渡したのであった。
木嶋は、渡されたグラスを手に持ち…
「永岡さん、お疲れさまでした。乾杯。」永岡さんとグラスを合わせたのだ。
永岡さんは、
「木嶋、なかなか雰囲気がいい。この店は、他にもあるのか?」木嶋に尋ねた。
木嶋は、
「横浜にもあるみたいです。一度、会社の仲間と飲みに行ったことがあります。」永岡さんに答えたのだ。
再び…女性店員さんが、木嶋の元に歩いてきた。
「お待たせしました。《活たらば刺身》、《日高豚蒸ししゃぶ》、《北の黄金鶏味くらべ串盛り》です。」テーブルに置き、その場を離れたのであった。