第346話
待ち合わせ場所である…コーヒーショップ『Y』に着いた。
店に入り、いつもと同じように、階段を一段ずつ上がって行く。
2Fに着き、周りを見渡した。
「はるかは、まだ来ていない!よしよし…」
普段なら…
「また…待つのか!と怒りたくなる。」と同時に、諦めの雰囲気を漂わせている。
この日の木嶋は、なぜか…安堵の表情が出ていた。
空いている座席を見つけ、席に座った。
「いらっしゃいませ…」男性店員さんが、木嶋に声を掛けた。
木嶋は、
「あとから1名来ますので…2名でお願いします。」男性店員さんに伝えた。
男性店員さんは、
「畏こまりました。ご注文が決まりましたら声を掛けて下さい。」木嶋にメニューを渡し、テーブルから離れて行く。
木嶋は、コーヒーショップ『Y』で、オーダーするのは定番化している。
「いつもと同じように、ケーキセットにしようかな?」
コーヒーショップと言うと…
長く寛ぐ…憩いの場所と考えていた。
木嶋が、夜間高校に通っていた…最寄り駅近くにあった…コーヒーショップは、今は、無くなっている。
横浜のコーヒーショップと言うと、ここしかないと思っていた。
木嶋は、右手を上げ…男性店員さんを呼んだ。
「お待たせしました。ご注文をどうぞ…。」
「ケーキセットでお願いします。ケーキは、シフォンケーキ。飲み物は、アイスコーヒー。」木嶋は、男性店員さんに伝えた。
男性店員さんは、
「ご注文を繰り返させて頂きます。シフォンのケーキセットで、飲み物は、アイスコーヒーでよろしいでしょうか?」木嶋に同意を求めた。
木嶋は、
「OKです。」男性店員さんに話した。
男性店員さんは、
「少し…お待ち下さいませ。メニューを一度下げてもよろしいでしょうか?」木嶋に聞いていた。
木嶋は、
「そうですね!」と、男性店員さんに答えたのだ。
男性店員さんは、メニューを持ち帰った。
先ほど…【KIOSK】で購入した…日本経済新聞を広げた。
木嶋の両サイドには、誰もいない。
人が座っているのは、一番奥の席に3人。
カウンター席に2人。
木嶋を入れて…6人である。
「土曜日で空いているなんて…珍しいのかな?」木嶋は考えていた。
良く…考えると、給料日の一週間前である。
「世間は、来週、給料日なんだよね!」妙に納得してしまった。
木嶋の会社も、来週が給料日である。
会社によって…給料日が違うところもある。
25日が給料日の会社は、全国で…何%なのだろうと考えていた。
日中は、主婦の人たちが多く…キャッシュコーナーの待ち時間がある。
夕方以降になると…仕事帰りのサラリーマンの人で混雑している。
最近は、どこの銀行も…キャッシュコーナーの営業時間が延長されている。
そのため…以前よりは混雑が緩和されていた。
今、木嶋の財布には…1万円札が1枚入っていた。
はるかと、待ち合わせしていても…どこかに出かけることはないので、これくらいの手持ちで充分であった。
ただ…飲みに行くとなると、お金を余計に持って行かなければならない。
それが…
麻美、玲、ちさとさんの店でも、ツケにするのは、気が引けてしまい…
《ゆとり》がなくなってしまうのであった。