第345話
駅の改札口に着いた。
木嶋は、Gパンのポケットから定期券を取り出した。
毎日の通勤は、横浜駅で乗り換えているので、定期券が役に立っている。
改札に入り、電光ボードを見上げた。
「東海道線と…京浜東北線…。最短時間で行くなら東海道線がいい。あとは、時間次第か…」
木嶋は、時間計算を始めた。
「東海道線と京浜東北線とのタイムラグは、3分の差…東海道線で行こう。」東海道線のホームに歩き出した。
階段を降りている途中で、携帯が…
「ピローン、ピローン、ピローン」と鳴り出した。
はるかからである。
木嶋が電話に出た。
「もしもし〜木嶋ですが…。」
「はるかです。まだ、横浜のカフェで友達の恋愛相談に載っています。少し…時間が掛かっていますが、待ち合わせ場所で待っていて下さいね!」はるかが、木嶋に話していた。
木嶋は、
「分かりました。自分も、これから最寄り駅を出ます。あと…15分ぐらいで到着します。」はるかに伝えた。
はるかは、
「は〜い。あとでね!」木嶋に答え、電話を切ったのだ。
木嶋は…
「フー」とため息を着いた。
はるかは、まだ…友達の恋愛相談に載っている。
以前…待ち合わせに、1時間以上…遅れて来たことがあるので、不安になるのだ。
木嶋は、時間にルーズな人は苦手である。
何度か…要望しても改善される様子はない。
半ば…諦めが肝心である。
東海道線に乗り、横浜に向かった。
午後3時を回っているので…乗車している人も多く感じられる。
夏休みなので…小学生、中学生、高校生たちが、どこかに出掛けたのか…お土産を両手に持ちきれないくらいに、たくさん抱えている人もいた。
その中には、東京ディズニーリゾートから帰ってきた人もいる。
麦藁帽子や、好きなプロ野球チームの帽子をかぶって応援している人。
海や山から戻ってきた家族連れ。
夏休みは、どこでも…たくさんのイベントがある。
木嶋は、子供の頃に戻りたい気分である。
その中で、花火大会は、夏の風物詩。
木嶋は、横浜で行われている…花火大会を、毎年観戦しに行きたいと思うときがある。
男同士で行くよりも、女性を連れていくのが一番いい。
はるか、富士松さん、麻美、玲、ちさとさんの5人の中から、誰を連れて行きたいかを考えなければならない。
最優先で答えを出すなら、はるかを連れていくのが最善である。
木嶋は、はるかと過ごしている時間が、他の女性よりも…一緒にいたいのだ。
麻美、玲には、子供がいる。
ちさとさんは、まだ、2回しか会っていない。
プライベートで会うには、リスクが大きくなってしまう。
富士松さんは、木嶋が惚れているが…話しをする機会が、全くないのだ。
色んなことを思案していたら、電車が横浜に到着する寸前であった。
木嶋は、東海道線から降り、改札口に向かう階段を降りて行く。
改札口を出る直前…。
『KIOSK』を発見。
いつも読む夕刊紙を探していた。
時間が早いせいか…まだ、夕刊紙が到着していなかった。
「日本経済新聞を買おう。」木嶋は、自分に言い聞かせていた。
木嶋は、日本経済新聞を新聞ラックから取り出し、店員さんに、お金を渡した。
日本経済新聞は、ページ数が多いので読みごたえがある。
新聞を右手に持ち、待ち合わせ場所のコーヒーショップ『Y』に向かった。